前回は、企業経営と物流KPI を説明しました。企業の物流活動を評価するKPI(重要業績評価指標、Key Performance Indicator)は、PDCAサイクルを通じた企業活動の改善に必要不可欠です。だからこそ、各社の企業経営の目標に合わせて、適切なKPI を選定する必要があります。今回は、KPI の選定手順を示すとともに、KPI を選定する上での留意点について解説します。
第6回「KPIの選定手順と留意点」を解説していきます。
第6回もくじ
1. KPI の選定手順
KPI の選定の手順は、表1 に示すように、自社および取引先の特性の理解、選定の目的の明確化、企業経営の目標にもとづく指標の選定の3 つからなります。
自社および取引先の特性の理解(1)とは、「自社および取引先の、業種、業態、企業規模などの特性を把握すること」です。多くの企業が物流に関わっていますが、各企業や業界(メーカー、卸・小売業者、物流事業者など)ごとに、重視する評価項目や評価指標は異なります。
例えば、発注者としての卸・小売業者は、納期の遵守を重視する一方で、受注者としてのメーカーは、生産コストの低減を重視する場合があります。また、物流事業者は、配送コストの低減や付帯業務の有無を重視する場合があります。さらに消費者は、環境や安全を重視する場合があります。このため、自社および取引先の特性を踏まえて、KPI を選定する必要があります。
選定の目的の明確化(2)とは、「評価指標を用いて行う評価の目的と対象、評価結果の利用方法などを明らかにすること」です。同一の企業内であっても、部門などによって重視する評価指標は異なります。
例えば、経営者は、売上高や利益率などの経営に関わる指標を重視しますが、物流管理者は、納期遵守率や欠品率などの物流業務全般に関わる指標を重視します。また、作業者はピッキングミス率や保管効率や積載率などの個別の物流業務に関わる指標を重視します。このため、評価の目的を踏まえて、適切なKPI を選定する必要があります。
企業経営の目標にもとづく指標の選定(3)とは、「企業活動(生産活動、保管活動、輸配送活動など)と、4 つの企業経営の目標(売上の増加、費用の削減、資産の活用、事業の成長性)を、整合させること」です。第5 回の表2 で示したように、企業経営の目標と対応させてKPI を選ぶ必要があります。
2. KPI 選定の留意点
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 物流と物流機能
- 第2回 物流とロジスティクス
- 第3回 在庫計画と在庫管理
- 第4回 輸配送計画と輸配送管理
- 第5回 企業経営と物流KPI
- 第6回 KPIの選定手順と留意点
- 第7回 物流のパラダイムシフトと物流管理の将来