前回は、物流と物流機能を説明しました。今回は、物流とロジスティクスについて解説します。物流に類似した用語にロジスティクスがあります。時々、物流とロジスティクスは同じような意味で使われることがありますが、厳密には異なります。物流管理の意義と役割をより正確に理解するため、物流とロジスティクスの相互関係を明らかにし、ロジスティクスにおける物流の位置付けを解説します。
第2回「物流とロジスティクス」を解説していきます。
1. ロジスティクスの語源
ロジスティクス(兵たん、Logistics)は、もともと戦略(Strategy)、戦術(Tactics)とならぶ三大軍事用語の一つです。戦略とは、戦争を実行するための計画であり、戦術とは、戦闘のための技術です。そしてロジスティクス(兵たん)とは、戦場の後方にあって前線の兵士を支援するために、食糧、車馬、軍需品の供給、補充、輸送に当たることです。
戦争では、戦わずして勝つための高度な戦法の一つに、食糧や飲料水の供給を断って敵の衰弱を待つ「兵糧攻め」があります。この戦法のように、ロジスティクスの確保は、戦争において極めて重要とされています。
2. ロジスティクスの内容と物流
軍事のロジスティクスがビジネスの世界にも応用されて、現在では企業においてもロジスティクスという概念が広く普及しています。ビジネス分野でのロジスティクス(ビジネス・ロジスティクス)とは、商品や物資を顧客の要求に合わせて届けるとき、商取引流通(商流:発注から受注まで)と物的流通(物流:出荷から入荷まで)を、効率的かつ効果的に、計画、実施、統制することです。
このとき、製品の購入者(着荷主)が「発注」し、販売者(発荷主)が「受注」してから「出荷」し、購入者が「入荷」することになります。つまり、購入者と販売者の間で、「発注・受注・出荷・入荷」のロジスティクスのサイクルが形成されているのです。
消費者が自宅でインターネット通販の商品を発注するとしましょう。最初に消費者が「発注」して通販業者が「受注」することを「商取引流通(商流)」といいます(図1)。次に「受注」の後に販売者は在庫から注文された商品を取り出し、箱に詰めて「出荷」し、消費者のもとに「入荷」します。このように、「受注」から「出荷」を経て「入荷」までを「物的流通(物流)」といいます。
ロジスティクスの目的は、「商品や物資の最適な供給を管理すること」です。ここでの「最適な供給」とは、「必要な商品や物資を、適切な時間(time)・場所(place)・価格(price)のもとで、要求された数量(quantity)と品質(quality)で供給すること」です。そして、ロジスティクスを構成する物流の目的も、「商品や物資について、最適な供給をおこなうために物流を管理すること」になります。
3. 3 つのロジスティクス(調達系・販売系・企業内)と物流
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 物流と物流機能
- 第2回 物流とロジスティクス
- 第3回 在庫計画と在庫管理
- 第4回 輸配送計画と輸配送管理
- 第5回 企業経営と物流KPI
- 第6回 KPIの選定手順と留意点
- 第7回 物流のパラダイムシフトと物流管理の将来