レーザの安全|レーザ加工の基礎知識5

レーザ加工の基礎知識
著者:関東職業能力開発大学校 生産機械システム技術科 能開准教授 永野 善己

レーザは、焼入れ、溶接、切断、穴あけ、マーキング、彫刻など、いろいろな用途に使える便利な道具です。しかし、使い方を誤ると、致命的な事故につながることがあります。よって、JIS(日本工業規格)などで、事故を未然に防ぐ基準が定められています。今回は、レーザの安全について解説します。

第5回「レーザの安全」を解説していきます。

基礎知識DL

1. レーザの安全

指向性の高いレーザ光を集光レンズで絞ると、極めて高いエネルギー密度の光源が得られます。レーザ加工は、この光源を利用して行う加工です。レーザ光は優れた特性を持つ反面、危険でもあります。その危険は、レーザを使用する人だけでなく、近くで作業する人にも及ぶ可能性があります。レーザ加工とレーザの安全は一緒に考える必要があり、レーザに関連する危険を熟知していなければなりません。特に、高出力レーザ加工機を使用する場合、1 番の問題は目の安全性です。

レーザ光を直視すると、重大な目の傷害につながり、場合によっては失明する恐れがあります。レーザ加工機の近くには、レンズなどの光沢表面で光が反射し、さまざまな細かいレーザ光が存在するかもしれません。細かいレーザ光でも、目を損傷させる強度があるので、大変危険です。作業者はレーザ光から目を守るため、レーザ安全保護メガネをかけなければなりません。図1 はレーザ用の安全保護めがねです。レーザ光にはさまざまな種類があり、波長も違います。保護メガネも、保護したいレーザ光の波長に合わせて、選択する必要があります。図1 から、CO2 レーザ用とYAGレーザ用のレンズの色が違うことが分かるでしょう。

レーザ用安全保護めがね
図1:レーザ用安全保護めがね

レーザ光は、皮膚、衣服、塗料を焼き焦がす強度も備えており、アルコール、ガソリン、エーテルなどの溶剤を発火させる恐れがあります。さらに、ビデオカメラ、光電子増倍管、フォトダイオード内の感光要素を損傷する場合もあります。高出力のレーザ加工機を使用する場合は、レーザ光の危険性に気を配り、安全な使用を心掛けましょう。

2. レーザの安全基準

レーザの安全基準は、JIS C 6802 レーザ製品の安全基準(国際規格IEC60825-1)で規定されています。レーザの危険度に応じてクラスが分けられおり、クラスごとの安全対策が必要です。レーザのクラスは1 から4 まで存在し、クラスが上がるほど危険度が増します(表1)。

レーザクラスの分類
表1:レーザクラスの分類(JIS C 6802:2011レーザ製品の安全基準を基に作成)

クラス1 は、通常の動作状態において、人体に損害を与えないレーザです。例えば、レーザプリンタなどが該当します。クラス2 は、レーザ光が直接目に入った場合、瞬きをする反応時間(0.25 秒)以内であれば安全と考えられるレーザです。レーザの出力源が目の近くにあり、長期間レーザ光線を目に入れた場合、危険度は高くなります。クラス3 は、レーザ光が直接目に入った場合、目に損傷を引き起こすレーザです。ミラーの反射を除く散乱反射の場合、通常は安全と考えられています。クラス4 は、直接または拡散反射から目を保護する必要のあるレーザです。クラス4 のレーザは、可燃性の物質の燃焼を引き起こし、直接的な接触により重度の皮膚やけど、損傷をもたらす可能性があります。レーザ装置が複数の波長を発振する場合、最も出力の高い波長に基づいて考えます。

3. 事故の実例に学ぶ

続きは資料をダウンロードしてご覧ください!

全5回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 レーザ加工の原理
  • 第2回 ピアシングとは
  • 第3回 レーザ切断加工とは
  • 第4回 レーザ加工における材料の違い
  • 第5回 レーザの安全

基礎知識DL

  • 資料ダウンロード

    これさえ読めば簡単に利用できる
    「3分でわかるイプロス無料出展会員」

  • 無料掲載

    イプロスで製品・サービスをPR
    無料掲載のお申し込みはこちらから