前回は、品質マネジメントシステム ISO 9001 の概要と、それを運用する際に留意すべき事柄について解説しました。今回は、ISO 9001の審査の流れについて説明します。より具体的に理解できるように、皆さんの組織(企業など)が認証機関から審査を受ける場面を想定し、審査の過程に沿って説明します。
第3回「ISO 9001(品質マネジメントシステム)の審査の流れ」を解説していきます。
第3回もくじ
1. トップマネジメントに対する審査
一般的に審査初日には、トップマネジメント、およびその代理の方(以前は「管理責任者」と呼ばれていた方)に、次のような組織の経営全般にわたる内容についてインタビューします。
上記1~4は組織の運営に関わるものです。審査員は、QMS の構築、運営の状況をトップに聞いて、QMS のアウトラインを把握します。そして、現場審査の際にそれらがどのように反映されているかを確認します。
QMS の仕組みとしては次の4段階の「監視(測定)」が定められています。(「測定」は「監視」の一形態なので、今後は「監視」に含めます。)
1と2は現場審査で個別に確認する項目、3と4は経営者(トップマネジメント)に確認する内容です。特に、3のマネジメントとしての監視は、組織にとってQMS 運営の要になるので、審査員はとりわけ詳細に確認します。また、その記録も細かく要求されているので、詳細な記録を取っておくことが望ましいといえます。
外部との関係で最も重要なのが「顧客」です。4の顧客意見の監視については、組織として、どのように苦情対応をしているか、CS 監視の結果をどのように組織のQMS に取り入れて改善しているかなどを審査員は確認します。製品を受けとる消費者が「顧客」である通常のQMS のケースでは、CS 監視として顧客(消費者)にアンケートを取ることが一般的です。
しかしながら業界独自(自動車や航空機など)のQMS 規格の場合は事情が異なります。例えば、自動車部品を製造している組織がQMS を運営しているとすれば、「顧客」は部品を納品している自動車メーカーであり、顧客である自動車メーカーからの要望や苦情について、組織として十分に認識して対応しなければなりません。このような場合、認証機関はスキームオーナーと呼ばれる業界団体が設けている業界独自のQMS 規格および認証制度に基づいて、ISO 9001 の審査よりも厳しい基準での審査を行います。
2. 現場の審査
経営層(トップマネジメント)に対するインタビューが終わると、審査員はそこで得た情報を元に、個別の現場(個々のプロセス)の審査を実施します。
現場のプロセスを見る場合は、製品の流れに沿って見ることが一般的ですが、後ろから見ていく審査手法もあり、やり方が決まっているわけではありません。各々のプロセスについては、プロセスの責任者(例えば、各部署の部課長レベル)に仕事の詳細を聞きます。具体的には、仕事に関係する経営資源(ヒト、モノ、設備、手順)をどのように管理しているか、業務の流れに沿って現場で正しい処理をしているかどうかなどを見ます。管理のポイントとしては、不良率や検査の記録などを確認し、日常業務がスムースに流れているかどうか、また、その他の部署(プロセス)との関係がうまく回っているかどうかを審査します。
3. 不適合の管理
4. 登録証および審査報告書
全5回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 ISOマネジメントシステム規格とは?
- 第2回 ISO 9001規格と品質マネジメントシステム(QMS)
- 第3回 ISO 9001(品質マネジメントシステム)の審査の流れ
- 第4回 さまざまなISOマネジメントシステム規格
- 第5回 ISOマネジメントシステムの活用