前回まで、ランプと照明器具について紹介してきました。これらの光源からの光を、量と流れ、時空間分布、およびスペクトル分布という光の物理的状態について制御し、目的に合った明視性を達成して雰囲気を形成するのが照明計画であり、照明技術なのです。今回は、照明計画において考慮すべき質的要件として、第一義として挙げられる「見やすさ」(明視性)への影響要因を、視覚特性と併せて紹介します。
第4回「視環境計画の要件(前編)」を解説していきます。
1. 視環境計画の要件
照明の目的は、用途に合った機能や雰囲気を備えた光環境を形成することです。照明は、明視照明と雰囲気照明に大別されます。前者は視作業、後者は印象に関与し、それぞれ主に環境生理と環境心理が対応します。両者は、どのような空間にも必要でありながら相反する側面もあるため、空間の使用目的によってどちらを優先するのかを決めなくてはならない場合があります。例えば、キラキラしたり点滅したりする光は、順応の乱れやグレアを生じさせやすく、明視性の低下が懸念されます。その反面、華やかな雰囲気を形成するのには効果的でもあります。
利用者の視点に立った場合、照明計画は視環境計画です。視環境の善しあしは、照明光、利用空間・視対象、利用者、つまり光・もの・ひとの3者が総合されて評価されます。また、この3者が同じであっても、利用目的によって評価は変わります。
今回から2回で説明していく視環境計画は、見え方の計画であり、見え方に関する要件は大別すると、見やすさ、明るさ・グレア、立体感・陰影・材質感、色味の4つに分類できます(図1)。
これらを適正に保つため、光源からの光の量と流れ、時空間分布、およびスペクトル分布という光の物理的状態を制御するのが、照明計画です。今回は、このうち「見やすさ」について説明し、残り3つに関しては次回紹介します。
見え方は、目への光刺激によるため、各要件の要求レベルを満たす光の物理的条件を考える上では、光に対する視覚特性を正しく理解することが必要です。また、照明計画としての操作性、メンテナンス、維持費(第2回参照)が適切でない場合は、計画通りの運用が難しく、設計目標とした視環境の質的レベルが維持されなくなるため、照明設備の維持管理の容易さが重要です。
2. 見やすさ
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 照明とは
- 第2回 光源の種類と特徴
- 第3回 照明器具
- 第4回 視環境計画の要件(前編)
- 第5回 視環境計画の要件(後編)
- 第6回 照明計画