前回は油圧補機から、アキュムレータとフィルタを紹介しました。今回は油圧補機の続編として、熱交換器、油タンク、圧力測定器、配管、電動機の5つを取り上げ、構造や特徴を解説します。熱交換器は作動油の温度管理、油タンクは作動油の貯蔵など、いずれも大切な役割を持つ油圧補機です。
第9回「熱交換器、圧力計、油タンク、配管、電動機」を解説していきます。
1. 熱交換器
熱交換器は、作動油の温度を適切に管理する装置です。固体壁面を介して、高温流体と低温流体の間で熱交換を行い、作動油の温度の変化・維持を行います。油圧システムに用いられる熱交換器には、水冷・空冷で冷却するクーラと、電熱器などで加熱するヒータがあります。
水冷式クーラは、多数の伝熱管を介して液体間で熱交換します。油圧のような高圧流体に適した構造です(図1)。
円形の外殻の両端には、伝熱管を支持する管板が設置されています。作動油は、外殻の油流入口から入り、伝熱管の外側を流れます。流れと直角に設けられた数個のバッフル板や、無数の穴を抜けながら、油流出口へと流れ出ます。バッフル板は、じゃま板とも呼ばれ、流体の流れ方向や流速を変える役割を持ちます。一方、冷却水は、水流入口から入り、左側下部の水室カバーを介して伝熱管の内部を流れます。右側の水室カバーを経由して、再び伝熱管を通り、左側上部の水室カバーを経て水流出口から流れ出ます。
寒冷地などで油圧ポンプを使用する場合、油温が低くなると、作動油の粘度が高くなります。それを防ぐため、油タンク内にヒータを設置して、作動油を適温まで上昇させます。一般的には、シーズ型ヒータが用いられます。シーズ型ヒータは金属製のシーズパイプの中にコイル線状の抵抗発熱体を入れ、絶縁体を充填させたものです。管用ねじにより、油タンク壁面とシール接合が可能です。
2. 油タンク
油タンクは、作動油を蓄える容器です。油タンクには、大気圧下で貯蔵する大気開放タンクや、大気圧より高い状態で貯蔵する加圧タンクがあります。大気圧開放タンクは鋼板溶接により製作され、ストレーナ(液体から固形成分を除くための網状の器具)、バッフル板、油面計、給油口、作動油抜き口と、複数の管路から構成されています(図2)。
油タンクには3つの働きがあります。作動油の適切な温度保持、作動油内の空気の分離、タンク底部への異物の沈殿・分離です。このためには、十分な容積が必要です。効果を高めるため、バッフル板をタンク中央部に設置することで、作動油の経路(戻り管路やドレン管路からストレーナを通り、ポンプ吸込み管まで)を長くしています。油タンクの上板に、油圧ポンプ、ポンプ駆動用電動機、リリーフ弁などの制御弁が一体化して設置されると、パワーユニットと呼ばれる油圧装置になります。
3. 圧力測定器
4. 配管
5. 電動機
全10回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 油圧の原理と油圧システム
- 第2回 作動油の種類と性質
- 第3回 作動油の流れ
- 第4回 油圧ポンプの構造と作動原理
- 第5回 油圧アクチュエータの構造と作動原理
- 第6回 油圧バルブの構造と作動原理
- 第7回 電気操作弁の構造と作動原理
- 第8回 アキュムレータとフィルタ
- 第9回 熱交換器、圧力計、油タンク、配管、電動機
- 第10回 油圧の動向とハイブリッド技術