アキュムレータとフィルタ|油圧の基礎知識8

油圧の基礎知識
著者:防衛大学校 システム工学群 機械システム工学科 教授 西海 孝夫

前回は、電気操作弁を紹介しました。これまで取り扱ってきた油圧ポンプ、油圧アクチュエータ、油圧バルブのほかにも、油圧システムにはさまざまな油圧機器が組み込まれ、流体動力の伝達機構を支えています。補助的な役割を担う油圧機器を、油圧補機といいます。今回は、油圧補機の中から、アキュムレータとフィルタを解説します。

第8回「アキュムレータとフィルタ」を解説していきます。

基礎知識DL

1. アキュムレータとは

アキュムレータとは、作動油の流体エネルギーを蓄えるための圧力容器です。アキュムレータは蓄圧方式によって分類され、気体の圧縮性で加圧する気体式アキュムレータ、重りなど重量物の重力で加圧する重り式アキュムレータ、ピストンを介してばねの弾性で加圧するばね式アキュムレータなどがあります。気体式アキュムレータは、作動油と気体の隔離構造の違いにより、ブラダ形、ダイアフラム形、ピストン形の種類があります。図1に、気体式アキュムレータの構造とJIS図記号を示します。

気体式アキュム レータの構造とJIS図記号
図1:気体式アキュム レータの構造とJIS図記号

2. ブラダ形アキュムレータ

ブラダ形アキュムレータは、気体式アキュムレータで最も一般的な形式です。ブラダとはゴム袋のことで、ブラダ形アキュムレータの本体内には、窒素ガスなどの不活性ガスを給気するブラダが組み込まれています。ポペット弁から作動油が流入すると、ブラダを圧縮してエネルギーを蓄積します。アキュムレータが作動していない状態では、本体内の作動油にも、ブラダ内の窒素ガスにも圧力は加えられていません(作動油の圧力ph=窒素ガスの圧力p=大気圧p0)。アキュムレータを作動させると、図2に示すように窒素ガスの圧力と体積、作動油の圧力が変化します。

ブラダ形アキュムレータの作動状況
図2:ブラダ形アキュムレータの作動状況

ガス封入時(図2の左)、給気弁からブラダに封入される窒素ガスの圧力p=p1は、作動油の圧力phより高いので、ブラダは膨張します。

流体エネルギー蓄積時(図2の中)は、油圧回路内の圧力phがガス封入圧力pより高くなり、ポペット弁が開いて作動油が流入します。作動油によりブラダ内の窒素ガスは圧縮され、作動油の流体エネルギーがアキュムレータに蓄積され始めます。設定された最高作動圧力p3に達すると、ブラダのガス体積Vは最も収縮して、V=V3となります。このとき、作動油の圧力phと窒素ガスの圧力pは釣り合います(ph=p=p3)。

流体エネルギー放出時は、油圧回路内の圧力phがガス封入圧力pより低くなり、ブラダ内の窒素ガスが膨張して蓄えられた流体エネルギーがアキュムレータから放出されます(図2の右)。設定された最低作動圧力p2まで下降すると、ブラダのガス体積VはV=V2、両者の圧力はph=p=p2となります。

3. アキュムレータの用途

4. フィルタとは

5. フィルタの性能

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全10回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 油圧の原理と油圧システム
  • 第2回 作動油の種類と性質
  • 第3回 作動油の流れ
  • 第4回 油圧ポンプの構造と作動原理
  • 第5回 油圧アクチュエータの構造と作動原理
  • 第6回 油圧バルブの構造と作動原理
  • 第7回 電気操作弁の構造と作動原理
  • 第8回 アキュムレータとフィルタ
  • 第9回 熱交換器、圧力計、油タンク、配管、電動機
  • 第10回 油圧の動向とハイブリッド技術

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