前回は、作動油の流れを紹介しました。今回は、作動油を吸い上げて油圧アクチュエータへと送り込む油圧ポンプを取り上げます。油圧ポンプは、メカニズムや作動油の吐出方法によって分類されます。ここでは、ほとんどの油圧ポンプで採用されている容積式ポンプおよび定容量形ポンプ・可変容量形ポンプの作動原理や特徴を解説します。
第4回「油圧ポンプの構造と作動原理」を解説していきます。
第4回もくじ
1. 容積式ポンプとは
容積式ポンプとは、ポンプ内部にピストンやシリンダなどの部品で仕切られた密閉空間(容積室)を有しているポンプのことです。容積式ポンプは、作動油を吸入・排出する機構によって、往復運動式と回転運動式に分けられます。往復運動式ではピストンが往復運動し、回転運動式はロータなどが回転運動することで作動油を流動させます。ここでは往復運動式のピストンポンプ(図1)を例に、作動原理を解説します。容積式ポンプの作動は、以下のとおり膨張行程、吸込行程、圧縮行程、吐出行程の4つの行程に便宜上分けられます。
・膨張行程
膨張行程では、駆動軸が回転し、ピストンが上死点より右方向に動きます。容積室は負圧になり、吸込圧力が生じます。
・吸込行程
吸込行程では、容積室の吸込圧力と油タンクの油面にかかる大気圧との差圧が、吸込側チェック弁のばね力より大きくなると、吸込側チェック弁のボールが離れ、油タンクから作動油を吸込みます。このとき、吐出側のチェック弁は、吐出側の圧力とばね力により、ボールが押され、閉じています。
・圧縮行程
圧縮行程では、ピストンが下死点より左方向に動き、容積室の体積を圧縮させて圧力が上昇します。
・吐出行程
吐出行程では、容積室内の吐出圧力と吐出側の圧力との差圧が、吐出側チェック弁のばね力に打ち勝つと、吐出側チェック弁のボールが離れ、容積室内の作動油が押し出されます。このとき、吸込側のチェック弁は、閉じています。
2. 定容量形ポンプと可変容量形ポンプ
全10回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 油圧の原理と油圧システム
- 第2回 作動油の種類と性質
- 第3回 作動油の流れ
- 第4回 油圧ポンプの構造と作動原理
- 第5回 油圧アクチュエータの構造と作動原理
- 第6回 油圧バルブの構造と作動原理
- 第7回 電気操作弁の構造と作動原理
- 第8回 アキュムレータとフィルタ
- 第9回 熱交換器、圧力計、油タンク、配管、電動機
- 第10回 油圧の動向とハイブリッド技術