前回は、作動油の種類と性質を紹介しました。今回は、作動油の油圧機器内での流れを学ぶため、圧力・流量と、これらに関連する式を解説します。油圧機器内や油圧管路における作動油の流れを知ることで、油圧システムの動力伝達を理解し、流れによる圧力損失や漏れをできるだけ少なく抑えることができます。計算式内には、作動油の流れを決めるさまざまなパラメータが登場します。どのようなパラメータが流れに影響を与えるのか、確認しながら読み進めてください。
第3回「作動油の流れ」を解説していきます。
第3回もくじ
1. 圧力
圧力は、流体中の壁面や仮想面に単位面積当たりに働く力Fの法線方向成分です。圧力pが断面積Aにわたって均等であるならば、圧力p=F/Aで表されます。一般に、油圧で使用される圧力は、大気圧を基準としたゲージ圧力です。SI単位は、Paの10 6 倍のMPaが用いられています。圧力のSI単位であるPaと、旧来より日本国内で利用されている工学単位kgf/cm 2 への変換は、9.8N/m 2 =1kgf/m 2 で求められます。よって、1kgf/cm 2 ≒0.098MPaとなります。
2. 流量と流速
断面積Aを通るx軸方向の流速uは、管壁からの粘性摩擦や管路形状の曲がり管の影響を受けます。そのため実際の流速uは、断面上の位置により異なります(図1のオレンジ色)。
このとき、微小面積dAを通る流速uを、断面積Aで面積分すると、流量Qを計算できます。
Q=∫ A udA
ただし、時間的に変動がない断面平均流速v を想定すると、作動油は圧縮性のない流体と見なすことができます。このとき、流量Qは各断面において一定であり、以下の式で表されます(図1 のピンク色)。
Q=A 1 ・v 1 = A 2 ・v 2 =const.
この式は連続の式と呼ばれ、油圧システムや機器内での多くの流れに対して実用的に用いられます。図2において、断面1では断面積A 1 が大きいため流速v 1 は遅く、断面2では断面積A 2 が小さいため流速v 2 は速くなります。
一般的に、油圧における流量の単位はL/minを用います。単位の変換は、1m 3 =1000L、1min=60s なので、1m 3 /s=6×10 4 L/minとなります。
3. 作動油のエネルギー
4. 平行平板間と円管路内の流れ
5. 絞りのある管路内の流れ
6. 圧力損失
全10回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 油圧の原理と油圧システム
- 第2回 作動油の種類と性質
- 第3回 作動油の流れ
- 第4回 油圧ポンプの構造と作動原理
- 第5回 油圧アクチュエータの構造と作動原理
- 第6回 油圧バルブの構造と作動原理
- 第7回 電気操作弁の構造と作動原理
- 第8回 アキュムレータとフィルタ
- 第9回 熱交換器、圧力計、油タンク、配管、電動機
- 第10回 油圧の動向とハイブリッド技術