前回は、健康経営の歴史と経済産業省の果たした役割について紹介しました。今回は、2022年3月9日に公表された2022年度健康経営顕彰制度の認定企業と、その傾向と特徴を紹介します。健康経営顕彰は、年1回の健康経営に関わる最大のイベントです。認定された企業の取り組みを学び、参考としてください。
第3回「健康経営とは?~2022年度健康経営顕彰制度の見どころ~」を解説していきます。
1. 2022年度 健康経営顕彰制度について
日本における健康経営顕彰制度は、アメリカのAmerican College ofOccupational and Environmental Medicine(ACOEM)が主催する優良健康経営表彰制度(CHAA:Corporate Health Achievement Award)を参考に、経済産業省が2015年に健康経営銘柄を開始したことに始まりました(表1)。2017年には、健康経営優良法人の中小規模法人部門の認定と大規模法人部門ホワイト500が、2021年には、中小規模法人部門にブライト500が新設されました。2022年度の受賞企業は、2022年3月9日に公表されました。
申請数と同様に、選定・認定企業数も順調に増えているのが分かります。認定企業数は、大規模法人部門では、前年度比128%になりました。また、中小規模法人部門の認定企業数は、前年度比154%となり、初めて1万社を超えました。多くの申請企業が、健康経営度調査票にのっとった取り組みに対応し始めているといえるでしょう。
健康経営度調査に回答した法人には、評価順位や偏差値などを記載した評価結果(フィードバックシート)が返却されました。また、フィードバックシートの開示可否を確認し、「開示可能」と回答した法人のフィードバックシートが、経済産業省のウェブサイトで公開されました(参考:経済産業省、令和3年度健康経営度調査に基づく2,000社分の評価結果を公開しました)。公開の対象となったフィードバックシートは、日経平均株価を構成する225社のうち約70%に当たる158社を含む約2,000社のものです。また、比較が可能なエクセルシートでの公開なので、総合ランキングを出すことも可能です(ちなみに、総合評価第1位は株式会社タニタヘルスリンク、上場企業ではANAホールディングス株式会社でした)。
表2、3に、2022年度の健康経営度調査票の認定項目を示します。
大規模法人部門と中小規模法人部門の認定項目に大きな差はありません。ただし、大規模法人部門より中小規模法人部門は認定条件が緩く、これは一般的に、中小規模法人は健康経営資源を含む経営資源が少ないことが考慮されています。例えば、労働安全衛生法第66条の10に基づくストレスチェック制度において、義務化されている企業は50人以上の規模とされており、50人以下の場合は任意とされるように、法律においても猶予されているケースなどがあります。
設問項目数自体は71で、それらが認定要件とひも付いている仕組みとなっています。表4に、設問項目と調査票目次を示します。
設問項目を一見すると、健康経営に取り組んでいない企業にとっては、ハードルが高く感じられるかもしれません。しかし、健康経営度調査票に回答するのは、健康経営の最初のステップです。まずは、上記の経済産業省のリンクから項目を確認してみてください。自社では対応できていない項目があるかもしれません。しかし、諦めずに回答してみましょう。既に健康経営顕彰に取り組んでいる企業は、フィードバックシートの不足点から改善策を見いだし、また次項で紹介する健康経営銘柄の取り組みを参考にして、新たなPDCAサイクル(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善)を回していきましょう。
2. 2022年度 健康経営銘柄の特徴
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 健康経営とは?~バズワード化しつつある「健康経営」と期待される効果~
- 第2回 健康経営の歴史と経済産業省の役割
- 第3回 健康経営とは?~2022年度健康経営顕彰制度の見どころ~
- 第4回 ものづくりと健康経営~産業衛生・安全衛生からの発展~
- 第5回 健康経営を使った都市づくり
- 第6回 健康経営の取り組み3ステップ~医療や食品を使った健康経営