前回は、食品製造の安全性を確保する管理法HACCP(Hazard Analysisand Critical Control Point:危害分析重要管理点)の概要を解説しました。また、重要管理点による管理(CCP:Critical Control Point)と一般的衛生管理(PRP:Prerequisite Programs)という、2 種類の安全対策についても解説しました。今回は、一般的衛生管理の中でも科学的な管理方法である、OPRP について解説します。
第2回「一般的衛生管理を科学的に!OPRPとは?」を解説していきます。
1. オペレーションする一般的衛生管理OPRP
OPRPとは?
ISO 22000(消費者への安全な食品提供を可能にする食品安全マネジメントシステムの国際規格)では、一般的衛生管理を重視しています。そして、OPRP(Operation Prerequisite Programs:オペレーション一般的衛生管理)を活用します。これは、一般的衛生管理PRP とHACCP の間に位置付けられ、安全確保のために重要です。
一般的衛生管理PRP は、環境からハザードを減少させるために、工場内の衛生を管理する手段です。具体的には、整理整頓や清掃などで工場内をきれいにします。行なったかどうかのチェック記録は、するものとしないものの両方が混在します。また、規定通り安全になっているかの検証も、あってもなくてもいいです。管理の限界基準を決めなくても、よいことになっています。
一方、オペレーション一般的衛生管理OPRP のオペレーション(Operation)の意味は、その場で分かる科学的管理手段があるということです。例えば、冷却工程で60 分以内に10℃以下まで冷却し、雑菌の繁殖を防ぐことが挙げられます。時間と温度の管理という科学的手段を用いています。
また、OPRP は「その場で分かる」ことが重要です。例えば、細菌検査をして3 日後に問題が発覚しても、検査した意味がありません。検査してすぐに問題が分かれば、不良品を出さなくて済みます。その場で分かる管理方法がないと、不良品の出荷につながってしまうのです。
一般的衛生管理PRP とオペレーション一般的衛生管理OPRP は、環境からハザードを減少させるという点では共通しています。その場で分かる科学的管理手段を持つものがOPRP です。一方CCP(重要管理点による管理)は、製品に入ってしまったハザードを除去します。具体的に、ソーセージの製造工程の中で、HACCP、PRP、OPRP がどのように使われているか見ていきましょう。
オペレーション一般的衛生管理OPRP の例:ソーセージ製造工場
ソーセージの一般的な製造手順は、以下のようになります。
原料肉整形、計量、細切り、混合(カッティング)、充填、懸架までの前半工程では、製造環境をきれいにすることがポイントです。すべて一般的衛生管理PRP で管理します。
次の加熱(スモークハウス)の工程では、加熱殺菌を行い、製品内の食中毒菌を除去します。この工程は、HACCP のCCP(重要管理点)により管理します。ソーセージの製造工程では、1つ目のCCP 管理ポイントです。加熱殺菌を行うことで、この工程のソーセージは安全になります。しかし、問題はその後です。
その次は、加熱されたソーセージを一気に冷やすためのシャワー、冷却、小分けの工程で、雑菌の付着など、ソーセージが汚染される可能性があります。もし、ここで汚染されてしまえば、残りの工程は、真空パックのパッケージングだけなので、そのままソーセージは製品となり、出荷されてしまいます。
つまり、加熱殺菌が終わってから、パッケージングまでの環境がとても大事といえます。例えば、小分け工程で、ハサミ、人の手、サンテナなどが汚ければ、せっかく殺菌したソーセージにハザードを付けてしまうことになります。この短い工程を、特にきれいにする必要があります。
そこで、この工程を確実にきれいにするために、その場で分かる科学的検査、つまりオペレーション一般的衛生管理OPRP を使います。
オペレーション一般的衛生管理OPRP の具体的な手段の一つに、ATP検査があります。これは、すべての生物の細胞内に存在するATP(Adenosine Triphosphate:アデノシン3 リン酸)を、薬品との化学反応により発光させて、雑菌などが残っていないか検査する方法です。1ヵ所1分以内に、検査結果を数値で出すことができます。測定単位はRLU(Relative Light Unit:相対発光量)であり、数値は500 以下、あるいは200 以下と決めているところが多いようです。
ATP 検査で、食品に触れるものや場所がきれいかどうか確認したあと、真空パックします。最後に金属探知機に通します。これが2 つ目のCCP管理ポイントです。
以上のように、ソーセージの製造工程の安全管理は、最初は一般的衛生管理PRP、加熱殺菌でCCP、そしてオペレーション一般的衛生管理OPRP と、金属探知機でCCP、箱詰めから配送までは一般的衛生管理PRPと、3 つのレベルを使います。
2. PRP・OPRP・CCP の関係
全4回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 HACCPとは何か?
- 第2回 一般的衛生管理を科学的に!OPRPとは?
- 第3回 HACCPの運用方法
- 第4回 やりっ放しにしない!HACCPの検証方法