前回は、研削砥石と超砥粒ホイールの違いと、作業目的に応じた研削砥石の選択法を説明しました。今回は、砥石の使用面の振れを取り除くツルーイングと、砥粒の突き出し量を調整するドレッシングを解説します。作業目的に合った砥石を選択しても、ツルーイング・ドレッシングを適切に行わないと、上手な研削加工はできません。
第6回「ツルーイングとは?ドレッシングとは?」を解説していきます。
1. ツルーイングとは?ドレッシングとは?
バイトのような切削工具は、研ぎ直しなど形状の修正や調整を行わないと、上手な研削加工ができません。研削砥石も同様です。新しい砥石をフランジに取り付けたとき、砥石とフランジの中心は、必ずしも一致していません。このような状態でフランジを研削盤に装着すると、強制振動が発生し、工作物表面にびびりマーク(加工面に現れる特有の模様)が生じます。このため、砥石の振れを除去し、砥石とフランジの中心を一致させる振れ取り作業が必要です。これにより、砥石外周面は真円状態になります。
しかし、振れ取り作業を行った砥石も、研削を長く続けていると、砥石外周面に偏摩耗が生じ、工作物表面にびびりマークが発生します。このため、砥石外周面を再び真円状態に戻す、形直し作業が必要になります。このような振れ取り作業、形直し作業を、ツルーイングといいます(図1)。
ツルーイングを行っただけの研削砥石の作業面は、砥粒がボンド面からほとんど突き出ておらず、切りくずの排出が困難なので、切れ味がよくありません。そのため、摩耗した切れ刃を再び鋭利化し、チップポケット(砥石の表面にできる隙間やへこみ)を形作る作業が必要になります。これをドレッシング、または目直しと呼びます。
ツルーイングとドレッシングは似た作業なので、ドレッシングは忘れられてしまう場合があります。しかし、ツルーイング後の砥石作業面の状態では良好な作業ができないため、ツルーイング後は必ずドレッシングを行う必要があります。ツルーイング・ドレッシングには多くの方法があります。次に、代表的なツルーイング・ドレッシング法を紹介します。
2. 砥石を用いるツルーイング・ドレッシング
砥粒を用いるツルーイング・ドレッシングには、遊離砥粒を用いる方法と、固定砥粒を用いる方法があります。遊離砥粒を用いる方法には、ラップ定盤を用いる方法、遊離砥粒を高速で砥石作業面に噴射する方法、遊離砥粒と水の混合液を砥石と工作物の隙間に流し込むスラリー法などがあります。
また、研削砥石を研削することにより行うツルーイング・ドレッシングには、角形ブロック砥石を研削する方法、ブレーキドレッサを用いる方法、回転砥石を研削するロータリー法などがあります(図3)。
角形ブロック砥石を研削する場合、バイスや台金に固定した砥石を横軸平面研削盤のマグネットチャックに装着し、所定の切り込みを与えてツルーイング・ドレッシングを行います。
ブレーキドレッサを用いる場合、ドレッサをマグネットチャックに装着し、回転する超砥粒ホイールを手送りします。砥石とホイールが接触すると、連れ回りを生じます。ブレーキドレッサにはブレーキがあり、連れ回り量が一定の値に達すると、引き戻される仕組みになっています。これにより生じる、砥石とホイール間のわずかな相対速度を利用して、超砥粒ホイールのツルーイング・ドレッシングを行います。
ロータリー法は、回転する研削砥石を、超砥粒ホイールで研削するツルーイング・ドレッシング法です。所定の切り込みを与えた超砥粒ホイールを、縦軸ドレッサに装着した幅の広い研削砥石で研削します。この場合、砥石幅の中央部の周速度と超砥粒ホイールの周速度を一致させる、いわゆる等速条件がポイントになります。このような条件下で研削砥石に往復運動を与えると、中央部近辺でわずかな相対速度が生じ、効率よく超砥粒ホイールのツルーイング・ドレッシングが行えます。また、砥石の中央部に、研削液を適量供給することが大切です。研削液を大量に供給すると、脱落砥粒が流され、砥石表面に留めることができません。脱落砥粒を砥石面に留めるには、幅の広い砥石を用い、研削液を適量供給します。効率のよいツルーイング・ドレッシングを行うには、超砥粒ホールのボンドを削り取り、マトリックス摩耗を生じさせます。
遊離砥粒、研削砥石を用いたツルーイング・ドレッシングで大切なのは、砥石の仕様です。ツルーイングでは、研削砥石によって超砥粒ホイールを研削し、振れや形直しをします。そのため、超砥粒ホイールの粒度よりも低い粒度の研削砥石を用います。例えば、粒度が230 よりも粗い超砥粒ホイールには、粒度が低く、結合度の高いツルーイング砥石(C60M など)を用います。
ドレッシングでは、遊離砥粒が超砥粒ホイールの作業面の砥粒間に入り込み、ボンドを除去します。そのため、粒度が230 よりも粗い超砥粒ホイールには、同程度の粒度で、結合度の低いドレッシング砥石(C220G など)を用います。
3. ダイヤモンド工具、金属を用いるツルーイング・ドレッシング
4. 電気・化学的なツルーイング・ドレッシング
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 研削加工の種類
- 第2回 研削・切削・研磨の違いとは?
- 第3回 研削形態の種類と理論
- 第4回 延性モード研削、ぜい性モード研削とは?
- 第5回 研削砥石の種類と選び方
- 第6回 ツルーイングとは?ドレッシングとは?
- 第7回 研削油剤の種類