前回は、延性モード研削とぜい性モード研削、最大砥粒切り込み深さ(t max )と、臨界砥粒押し込み深さ(D c 値)の関連を説明しました。今回は、研削砥石と超砥粒ホイールを取り上げます。また、作業目的に応じた研削砥石の選択方法を解説します。適切な研削砥石を選択することで、多くの研削トラブルを回避できます。
第5回「研削砥石の種類と選び方」を解説していきます。
1. 研削砥石と超砥粒ホイール
研削砥石と超砥粒ホイールは、見た目はよく似た研削工具です。しかし、その構造には違いがあります。研削砥石は、砥石の外側から内部まで全体の組成は均一です。一方、超砥粒ホイールは、台金(コア)と外周部の砥粒層で構成されています。研削砥石と超砥粒ホイールでは、JIS 規格も異なります。例えば、ビトリファイド研削砥石はJIS R 6210で、超砥粒ホイールはJIS B 4131で規定されています。
2. 研削砥石の3 要素5 因子
研削砥石は、砥粒、結合剤および気孔の3 元系でできています(図1)。砥粒は切れ刃の働きを、結合剤は砥粒を支えるホルダーの働きを、気孔は切りくずを排出する働きをします。砥粒、結合剤、気孔を、研削砥石を構成する3 要素と呼びます。
研削砥石の3 要素は、さらに細かく分類できます。まず、砥粒の種類や、大きさを示す粒度によって分けられます。また、研削砥石中に占める砥粒の体積分率を砥粒率V g といい、組織という指標で表します。同様に、研削砥石中に占める結合剤と気孔の体積分率を、それぞれ結合剤率V b 、気孔率V p といい、V g +V b +V p =1 となります。結合剤率V b は、結合度という指標で表します。気孔率V p は、組織と結合度が分かれば、自動的に決まります。このように、砥粒の種類と粒度、結合剤の種類と結合度、気孔の組織を、研削砥石の3 要素5 因子といいます(図2)。
ここで問題なのは結合度です。例えば、一般的なビトリファイドボンドは、ケイ石、粘土、長石の3元系で構成されています。しかし、組成は砥石メーカーにより異なり、結合剤率V b として一律に規定できません。そのため、二又ビット法(大越式結合度試験法)により測定された値が、結合度として規定されています。測定には、大越式結合度試験機を使用します(図3)。
超砥粒ホイールには、気孔を含まず、砥粒と結合剤で構成される2 元系マトリックスタイプと、気孔を含む3 元系ブリッジタイプがあります。
この場合、組織の代わりにコンセントレーション(砥粒層中に砥粒がどれだけ含まれているかを表す指標)が用いられます。
3. 研削砥石の仕様の表示
4. 研削砥石の選び方
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 研削加工の種類
- 第2回 研削・切削・研磨の違いとは?
- 第3回 研削形態の種類と理論
- 第4回 延性モード研削、ぜい性モード研削とは?
- 第5回 研削砥石の種類と選び方
- 第6回 ツルーイングとは?ドレッシングとは?
- 第7回 研削油剤の種類