前回は、幾何公差を用いた位置精度の指示方法について説明しました。今回は、幾何特性の種類と特徴、および各特性を使用する目的を解説します。また、サイズ公差では普通許容差(一般公差、普通公差)と呼ばれるものが、幾何公差はどのように適用されるかを紹介します。
第3回「幾何特性の種類と記号」を解説していきます。
第3回もくじ
1. 幾何特性の種類と記号
図面上で、ある部品が直線・円・平面で示されている場合、多くの日本人加工者はできるだけ正しい直線・円・平面に加工しようとします。ところが、完全に正しい形状(幾何学的に正しい直線・円・平面)に仕上げることは不可能です。そこで問題となるのは、どの程度まで正しく仕上げたらよいか、逆にいえば、どの程度までの狂いであれば許されるかです。それを数値化したものが、幾何公差です。
幾何公差には、14 種類の特性があります。幾何公差を学ぶ最初のステップとして、14 種類の幾何特性の名称と、各特性を使用する目的を覚えましょう(表1)。
これらの14 種類の幾何特性は、形状偏差、姿勢偏差、位置偏差、振れ偏差の4 つの偏差(ずれ)に分類されます。
・形状偏差とは、対象となる形体が、幾何学的に正しい形状を表す偏差の許容値内にあるかを規定します。
・姿勢偏差とは、対象となる形体が、データム(理論的に正確な幾何学的基準)に関連し、平行や直角、任意の角度で設計された形状が、幾何学的に正しい姿勢を表す偏差の許容値内にあるかを規定します。
・位置偏差とは、対象となる形体が、データムに関連し、中心点や中心線、中心平面が、幾何学的に正しい位置に存在するかを表す偏差の許容値内にあるかを規定します。
・振れ偏差とは、対象となる形体が、データムに関連し、回転体の表面において、指定された方向の変位が偏差の許容値内にあるかを規定します。
表2 に、幾何特性の種類と記号、およびデータムの要否をまとめました。幾何特性の記号は、目的とする特性を想起しやすいようにデザインされているため、覚えやすいのではないでしょうか。
2. 普通幾何公差とは
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 幾何公差とは?
- 第2回 位置に対する寸法公差と幾何公差の違い
- 第3回 幾何特性の種類と記号
- 第4回 データム記号と幾何公差の表記法
- 第5回 形状偏差の指示例と公差域の定義
- 第6回 姿勢偏差の指示例と公差域の定義
- 第7回 位置偏差の指示例と公差域の定義
- 第8回 振れ偏差の指示例と公差域の定義