前回は、位置偏差の指示例と公差域の定義を解説しました。最終回となる今回は、振れ偏差です。振れ偏差は、回転機能を持つ部品の振れを規制します。その指示例と公差域を理解しましょう。
第8回「振れ偏差の指示例と公差域の定義」を解説していきます。
1. 振れ偏差の特徴
振れ偏差は、対象となる形体が、回転体の表面において、指定された方向の変位が偏差(ずれ)の許容値内にあるかを規定するものです。振れ偏差に分類される幾何特性には、円周振れ、全振れがあります。振れ偏差は、基準となるデータムを参照し、回転する形体表面が指定した位置にあるかを要求する特性です。形状偏差、姿勢偏差、位置偏差との関連はありません。振れ幅は、ラジアル方向(円周方向)とアキシャル方向(軸線方向)のどちらにも使うことができます。
2. 円周振れの指示例と公差域
円周振れは、円筒を基準となる中心線で回転させたときに、円筒面、あるいは軸直角端面の任意の位置での母線がどれだけ振れているかを表す指標です。
・ラジアル方向の円周振れ
図1 は、左右の軸の中心線を共通の基準にしたときの中央の円筒表面への円周振れの指示例です。この場合、左右の軸の寸法線の延長線上にデータムA、データムB を共通データムとして指示し、円筒面の母面に指示線を当てます。共通データムであることを示すため、公差記入枠の1 つの区画に「A-B」と記入します。指示線を当てた円筒面の任意の位置における振れは、データムに平行な同一平面上の離れた2 線間になければならず、図1 では0.1mm です。
・アキシャル方向の円周振れ
図2 は、左側の軸の中心線を基準にしたときの右側の円筒端面への円周振れの指示例です。この場合、左側の軸の寸法線の延長線上にデータムA を指示し、円筒端面の母線に指示線を当てます。指示線を当てた円筒端面の任意の位置における振れは、データムに直角な同一平面上の離れた2 線間になければならず、図2 では0.1mm です。
3. 全振れの指示例と公差域
4. 円周振れと全振れの違い
5. 円周振れと同軸度の違い
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 幾何公差とは?
- 第2回 位置に対する寸法公差と幾何公差の違い
- 第3回 幾何特性の種類と記号
- 第4回 データム記号と幾何公差の表記法
- 第5回 形状偏差の指示例と公差域の定義
- 第6回 姿勢偏差の指示例と公差域の定義
- 第7回 位置偏差の指示例と公差域の定義
- 第8回 振れ偏差の指示例と公差域の定義