前回は、姿勢偏差の指示例と公差域の定義を解説しました。今回は、姿勢偏差に加えて、その位置までも規制する位置偏差を取り上げます。位置偏差に分類される幾何特性の定義や、位置偏差の公差域の指示方法を理解しましょう。
第7回「位置偏差の指示例と公差域の定義」を解説していきます。
1. 位置偏差の特徴
位置偏差は、対象となる形体の中心点や中心線、中心平面が、幾何学的に正しい位置にあることを表す偏差(ずれ)の許容値内にあるかを規定するものです。位置偏差に分類される幾何特性には、同軸度・同心度、対象度、位置度、線の輪郭度、面の輪郭度があります。
位置偏差は、基準となるデータムを参照し、その形体が指定した位置にあるかを要求する特性です。ただし、位置度においては、条件によってデータムを不要とすることもあります。
2. 同軸度・同心度の指示例と公差域
同軸度と同心度は、指示された形体の中心がデータム形体の中心に対して、どれだけずれているかを表す指標です。作図上のルールは全く同じで、図面に指示する場合は同じ二重丸の記号を使用し、公差値には∅を付けます。両者の違いは、その対象となる形体の長さです。中心軸が長い場合は同軸度、板金部品のように厚みが数mm しかないものは同心度と使い分けます。
・同軸度
同軸度は、対象となる軸の中心線が、同一直線上にある基準となる軸の中心線に対して、どれだけ位置ずれしているかを表す指標です。
図1 は、2 つの軸の同軸度の指示例とその公差域です。それぞれの軸の寸法線の延長線上に、データムと幾何公差の指示線を当てます。指示線を当てた軸の中心線は、データム軸と同一ライン上にある円筒内に存在しなければなりません。円筒の直径は公差記入枠で指定され、図1 では0.05mm です。
・同心度
同心度は、対象となる軸の中心点が、同一平面上にある基準となる軸の中心点に対して、どれだけ位置ずれしているかを表す指標です。板金のように厚みの少ない部品に対して指示する場合に用いられます。
図2 は、2 つの軸の同心度の指示例です。それぞれの軸の寸法線の延長線上に、データムと幾何公差の指示線を当てます。指示線を当てた軸の中心点は、データム点と同一平面上にある円内に存在しなければなりません。円の直径は公差記入枠で指定され、図2 では0.1mm です。
3. 対称度の指示例と公差域
4. 位置度の指示例と公差域
5. 線の輪郭度の指示例と公差域
6. 面の輪郭度の指示例と公差域
7. 位置偏差と姿勢偏差の相関関係
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 幾何公差とは?
- 第2回 位置に対する寸法公差と幾何公差の違い
- 第3回 幾何特性の種類と記号
- 第4回 データム記号と幾何公差の表記法
- 第5回 形状偏差の指示例と公差域の定義
- 第6回 姿勢偏差の指示例と公差域の定義
- 第7回 位置偏差の指示例と公差域の定義
- 第8回 振れ偏差の指示例と公差域の定義