幾何偏差には、形状偏差、姿勢偏差、位置偏差、振れ偏差の4 種類があります。今回は、形状偏差の指示例と公差域を解説します。公差域とは、図面が示す幾何学的に正確な位置に対するバラつきの許容範囲(領域)です。公差域は、幾何特性の種類や、公差を適用する場所(指示線の矢を当てる位置)、寸法補助記号の有無によって異なります。
第5回「形状偏差の指示例と公差域の定義」を解説していきます。
1. 形状偏差の特徴
形状偏差は、対象となる形体が、幾何学的に正しい形状を表す偏差(ずれ)の許容値内にあるかを規定するものです。形状偏差に分類される幾何特性には、真直度、平面度、真円度、円筒度、線の輪郭度、面の輪郭度があります。
形状偏差はデータムを参照せず、その形体が指定したあるべき形状(カタチ)になっているかを要求する特性です。形状を満足できればよいため、傾きや位置ずれは問われません。形状偏差は幾何特性の基本となり、姿勢偏差や位置偏差にも関連します。
2. 真直度の指示例と公差域
真直度は、その表面上の線や中心線が、理論的に正確な直線からどれだけ変形しているかを表す指標です。
・平面に真直度を指示する場合
図1 は、平面の母線(表面上の任意の位置にある実体のある線)への真直度の指示例です。この場合、平面上の母線は、矢を当てた投影面を挟む平行な2 直線間に存在しなければなりません。平行な2 直線間の距離は公差記入枠で指定され、図1 では0.1mm です。また、公差域となる平行な2 直線は、必ずしも対面と平行である必要はありません。
・円筒面に真直度を指示する場合
図2 は、円筒面上の母線への真直度の指示例です。この場合、円筒面上の母線は、矢を当てた投影面を挟む平行な2 直線間に存在しなければなりません。平行な2 直線間の距離は公差記入枠で指定され、図2では0.15mm です。また、公差領域となる平行な2 直線は、必ずしも中心線と平行である必要はありません。
・円筒の中心線に真直度を指示する場合
図3 は、円筒の中心線への真直度の指示例です。この場合、円筒の中心線は、公差記入枠で指定された直径を持つ真っ直ぐな円筒領域に存在しなければなりません。図3 では、円筒の直径は0.1mm です。真直度の指示は、このパターンで多く使用されます。
3. 平面度の指示例と公差域
4. 真円度の指示例と公差域
5. 円筒度の指示例と公差域
6. 線の輪郭度の指示例と公差域
7. 面の輪郭度の指示例と公差域
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 幾何公差とは?
- 第2回 位置に対する寸法公差と幾何公差の違い
- 第3回 幾何特性の種類と記号
- 第4回 データム記号と幾何公差の表記法
- 第5回 形状偏差の指示例と公差域の定義
- 第6回 姿勢偏差の指示例と公差域の定義
- 第7回 位置偏差の指示例と公差域の定義
- 第8回 振れ偏差の指示例と公差域の定義