前回、現在のFMEA やFTA の問題点について解説しました。そこで今回は、どうすればうまくやれるのか、そのコツについて解説します。図1に示すように、温泉(FTA/FMEA) の効能を引き出すために、温泉の入り方には4 つの注意点があります。そこで今回は、第1 の関門の解説をします。
第2回「機能階層化のコツ」を解説していきます。
1. 第1 の関門は階層化!
一言でいうと、FTA の特徴はトップダウン、FMEA はボトムアップです。図2 から分かるように、どちらの手法も階層化を行います。したがって、FTAやFMEAを成功させる秘策は階層化です。階層化が適切でなければ、FTA もFMEA も満足のいく解析結果は得られません。そこで、製品の階層化の有力な手段として、機能展開が挙げられます。機能展開は、既に品質機能展開やバリューエンジニアリングのときに実施していることと思います。
しかし、例えば、商品企画7 つ道具として推奨されている品質機能展開で、ユーザーのアンケートにより本当にニ―ズをつかむことができているのでしょうか。かつて、フォードが自動車のニーズの市場調査を行った時、大衆は馬が欲しいという結果だったとのことです。けれども、車は利便性が理解されてからよく売れました。画期的なものほど、大衆はそのニーズを理解していません。
また、従来の機能展開はスケッチを描くように現在の製品の構成をなぞるため、新たな機能や機構を考案しづらいのです。例えば、市販のテキストのFMEA の機能展開を見ると、ほとんどが部品構成図になっています。実績のある部品であれば、FMEA を実施しても有益な情報は得られず、徒労に終わったと設計者は感じます。本来の機能展開は、いきなり部品を書くのでなく、機能のあるべき姿を描いて目的を抽象的に展開します。そうしないと画期的な改善は得られません。
今回はスケッチ風に描く従来の機能展開の方法を「下方機能展開」と定義し、新たな機能や原理を考察していく創造的な機能展開を「上方機能展開」と定義して、意識的に区別します。
2. 上方機能展開の考え方とは?:抽象化した機能から考える
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 もったいない!FMEA/FTAの実態
- 第2回 機能階層化のコツ
- 第3回 下方機能展開とFTA
- 第4回 4つの関門を突破するツール
- 第5回 FMEAでは部品選択と評価がポイント!
- 第6回 工程のFMEA・設備のFMEA