前回は、鍛造の力学的な解析に必要な力学の基本的事項を解説しました。最終回となる今回は、鍛造機械の種類と特徴を取り上げます。鍛造機械は、ハンマーによる打撃と、プレスを使うものに分類できます。さらに、プレスによる鍛造は、荷重を発生させる方法により、液圧プレスと機械プレスに分かれます。
第6回「鍛造機械の種類と特徴」を解説していきます。
第6回もくじ
1. ハンマーとプレスの違い
鍛造機械には、ハンマーを使うものと、プレスを使うものの2 種類があります。まずは、それぞれの構造を見ていきます。ハンマーを用いた鍛造は、重量や圧縮空気で加速させたハンマーを、金敷の上に置いた材料に衝撃的に当てることにより鍛造を行います(図1)。鍛冶屋が槌(つち)で、材料を打つのと同じです。
プレスによる鍛造は、フレームの中でスライドを動かして、材料に荷重をかけて鍛造を行います。(図2)。
ハンマーによる鍛造では、大きなエネルギーを投入できます。1 回で目標の形状に鍛造できない時は、数回の打撃を繰り返します。ハンマーによる荷重の制御は難しく、精度を追求する鍛造には向きません。生産量が少なく、比較的大きな製品を鍛造するのにハンマーは向いています。また、材料と型の接触時間が短いため、材料は熱が奪われにくく、型もあまり熱くならないので、熱間鍛造に向いています。
精密な鍛造を行うには、荷重や型の位置制御のしやすさが求められます。その点で、ハンマーよりプレスが適しています。プレスは、荷重を生み出す仕組みの違いから、液圧プレスと機械プレスに分類されます。一般に低速の液圧プレスは、大きな荷重を必要とする鍛造に向いています。小さい鍛造品を大量かつ精密に生産するには、機械プレスが適しています。
2. 液圧プレス
現在、液圧プレスの主流は、油圧プレスです。フレーム上部に固定された油圧シリンダへ、ポンプで作動油を送り込んで荷重を発生させます。
油圧プレスによる荷重は、シリンダのボア径D から断面積
A= 3.14×(D/4)
2
を計算して、それに圧力計の指示圧を掛け算することで求められます。油圧プレスの速度は1 ~ 10 mm/s 程度で、ポンプからシリンダへ送る作動油の流量によって変わります。大きな荷重の時には少し遅くなります。油圧プレスの速度は遅いので、冷えやすい小さな部品の熱間鍛造には向きません。しかし、発電所のタービン用主軸のように、直径1m を超えるような大きな鋳塊などの熱間鍛造には、大型の水圧プレスや油圧プレス機械も使われます。また、スライドの位置が任意に止められるので、試作成形中の材料の変形、充満状態などを確かめるためにも油圧プレスは利用されます。
3. 機械プレス
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 鍛造加工とは?鍛造加工の種類は?
- 第2回 鍛造加工の工程と欠陥
- 第3回 鍛造材料の種類と性質
- 第4回 鍛造の金型材料・型コーティング・潤滑剤
- 第5回 鍛造に関する力学
- 第6回 鍛造機械の種類と特徴