食品添加物指定の条件と流れ|食品添加物の基礎知識7

食品添加物の基礎知識
著者:武庫川女子大学 生活環境学部 教授 松浦 寿喜

前回は、食品添加物に関する食品表示の規定や、記載が免除される場合を紹介しました。いよいよ最終回となる今回は、新たな物質が厚生労働省の認可を受け、食品添加物として指定されるまでの流れを解説します。また、グローバルに食品添加物の安全性を守る国際機関、コーデックス委員会やJECFA についても言及します。

第7回「食品添加物指定の条件と流れ」を解説していきます。

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1. 食品添加物指定の条件

食品添加物の指定リストは、すでに登録されているものの安全性や使用状況を見直し、不適切なものを削除するとともに、新たな物質の登録を随時行っています。2016(平成28)年には亜セレン酸ナトリウム、オクタン酸など5 種類が、2015(平成27)年にはカンタキサンチン、クエン酸三エチルなど4 種類が登録されました。

新たな食品添加物の指定については、厚生労働省の食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針(別添)に記載されています。新たな物質が食品添加物に指定される場合、「人の健康を損なうおそれがなくかつその使用が消費者に何らかの利点を与えるもの」とされています。従って、新たな食品添加物の指定にあたり、安全性と有効性が科学的に確認されている必要があります。

まず、食品添加物において最も大切なことは、安全性です。食品添加物の安全性は、要請者が厚生労働省に要請した使用方法で、実証または確認されていなければなりません。

次に、有効性については、下記4 点のいずれかに該当することが実証または確認されていなければなりません。

(1)食品の栄養価を保持するもの。ただし、(2)に該当する場合またはその食品が通常の食事の中で重要なものでない場合には、食品中の栄養価を意図的に低下させることも、正当と認められる場合がある。

(2)特定の食事を必要とする消費者のための食品の製造に必要な原料または成分を供給するもの。ただし、疾病の治療その他医療効果を目的とする場合を除く。

(3)食品の品質を保持しもしくは安定性を向上するものまたは味覚、視覚などの感覚刺激特性を改善するもの。ただし、その食品の特性、本質または品質を変化させ、消費者を欺瞞(ぎまん)するおそれがある場合を除く。

(4)食品の製造、加工、調理、処理、包装、運搬または貯蔵過程で補助的役割を果たすもの。ただし、劣悪な原料または上記のいずれかの過程における好ましからざる手段もしくは技術(非衛生的なものを含む)の使用による影響を隠ぺいする目的で使用される場合を除く。

2. 食品添加物指定の流れ

食品添加物の指定を新たに得るにあたって、要請者は厚生労働大臣あてに食品添加物の成分規格、使用基準、安全性などに関する資料(表1)を準備し、指定の要請を行います(図1)。なお天然由来物質、化学的合成品の区別なく、同様の手続きを取る必要があります。

食品添加物指定の要請に必要な資料
表1:食品添加物指定の要請に必要な資料
食品添加物指定までの流れ
図1:食品添加物指定までの流れ

まず、要請者の提出資料に基づいて安全性を確認するため、厚生労働省は、内閣府の食品安全委員会に意見聴収を行います。これを受けた食品安全委員会では、食品健康影響評価(リスク評価)やADI(1 日摂取許容量、Acceptable Daily Intake)設定などが行われます。その結果を委員会から通知された厚生労働省は、薬事・食品衛生審議会を開き、食品添加物指定の可否を検討します。最終的には、WTO(世界貿易機関、World Trade Organization)など外部の意見も得ながら、判断が下されます。本来であれば、添加物を取り扱う要請者が、食品添加物の指定を要請するところから始まります。

しかし食品流通の国際化が進み、多くの食品が輸入される近年では、食品添加物もこれに対応しなければなりません。2002 年6 月、中国から輸入された食塩に、日本では食品添加物に指定されていないフェロシアン化物(黄血塩)が、固結防止の目的で含まれていたため、商品が回収されました。その後も同様の問題が、相次いで起こりました。しかし、この食品添加物はJECFA(FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議、Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives)で安全性が確認されていたことや、アメリカやEU でも古くから使用されており、安全性が十分に確認できるものであることが明らかになりました。

そこで厚生労働省は、2002(平成14)年7 月、国際的に安全性が確認され、かつ、汎用されている未指定添加物については、指定する方向で検討していく方針を示しました。JECFA で一定の範囲内で安全性が確認されているもの、アメリカおよびEU 諸国などで使用が広く認められており、国際的に必要性が高いと考えられるものについては、企業からの要請がなくとも、指定に向け個別品目ごとに安全性および必要性を検討していくとの方針が、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会において了承されたのです。この方針に基づき、厚生労働省では関係資料の収集・分析や必要な追加試験の実施などを行い、必要な資料が整備できたものから、順次食品安全委員会に評価を依頼するとともに、その評価結果に基づいて指定などを行うこととなりました。

3. 食品添加物の国際的な基準

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全7回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 食品添加物とは?
  • 第2回 食品添加物のメリット・デメリット
  • 第3回 食品添加物の種類
  • 第4回 食品衛生法と食品添加物
  • 第5回 食品添加物の安全性
  • 第6回 食品添加物の表示ルール
  • 第7回 食品添加物指定の条件と流れ

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