食品添加物の安全性|食品添加物の基礎知識5

食品添加物の基礎知識
著者:武庫川女子大学 生活環境学部 教授 松浦 寿喜

前回は、食品添加物が食品衛生法で、どのように分類されているのか、その経緯から今後の展望までを解説しました。今回は、食品添加物の1 日摂取許容量と使用基準とは何か、これらを定める基準となる毒性試験の方法について、説明します。

第5回「食品添加物の安全性」を解説していきます。

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1. 食品添加物の1 日摂取許容量

食品添加物の1 日摂取許容量とは、ヒトがある食品添加物を一生涯、毎日摂取しても悪影響が出ない範囲に算出された、1 日当たりの摂取量のことです。基本的に全ての化学物質(ヒトや食品を構成する化学物質も含めて)には、何らかの毒性があります。砂糖や塩であっても、多量に摂取すれば毒性が確認されます。その毒性は、摂取量や摂取期間などに影響されます。一般に、化学物質が生体に与える反応は、投与量に関連しており、これを用量- 反応曲線(図1)といいます。

化学物質の用量‐反応曲線
図1:化学物質の用量‐反応曲線

例えば頭痛の時に、頭痛薬を1 回2 錠飲んだところ、すっきりと痛みが取れたとします。この2 錠という投与量は、薬の効果が発動する作用量です。同じ頭痛薬を1/100 錠にして飲んだ場合、頭痛は治まりませんでした。この投与量は、無作用量です。20錠飲んだ場合には、嘔吐(おうと)、全身倦怠(けんたい)感、発汗などの初期症状の後、重篤な副作用を起こします。この量は、中毒量になります。もしさらに投与量を極端に増やした場合、死に至る場合もあります。この量は、致死量となります。化学物質の投与量を増やしてゆき、生体に反応が現れない最大量をしきい値といい、これは化学物質の種類によって異なります。

食品添加物の1 日摂取許容量は、実験動物を用いた毒性試験の結果を、ヒトに外挿して求められます。動物実験により得られた毒性試験の結果から、無毒性量が求められます。無毒性量は、ある食品添加物を長期にわたって実験動物に投与しても、何の影響も認められない最大投与量のことです。しかし、実験動物の値をそのままヒトに当てはめることはできません。そこで、安全係数が用いられます。安全係数とは、実験動物で行った毒性試験の結果を、ヒトに当てはめる場合に用いる経験値で、通常、実験動物とヒトとの種差を10 倍、個人差を10 倍と考え、これらを乗じた100 倍を安全率として用います。つまり、無毒性量を安全係数(通常100)で除した値が、ヒトの1日摂取許容量となります。なお、無毒性量については、第3 章の毒性試験の項目で、詳しく説明します。

2. 食品添加物の使用基準

食品添加物の安全性を確保するためには、食品添加物に有害な不純物が含まれていないことや、使用量が適切であることが絶対条件です。品質確保のため、食品添加物には食品衛生法によって成分規格が定められており、純度や副産物の上限値が設定されています。

また、食品添加物の使用量も、食品衛生法の使用基準によって制限されています。しかし品質が十分に確保され、安全性が確認されている食品添加物でも、異なった食品から同じ食品添加物を摂取した場合、総量が1 日摂取許容量を超える可能性も考えられます。そこで、いろいろな食品を摂取しても、食品添加物の合計が1 日摂取許容量を超えないように、使用基準が定められています。食品添加物を使用できる食品の種類、使用量、使用目的および使用方法などを制限しているのです。

使用基準を設定する場合、国民健康・栄養調査をはじめ、食品の生産量、輸入量、消費量などさまざまなデータから、各食品の個人当たりの摂取量を算出し、食品添加物の摂取量を推定します。実際に、使用基準が定められている食品に含まれる食品添加物量を測定してみると、使用基準の約1/10 程度の使用量であることが分かります。従って、食品添加物の安全性は、十分に確保されているといえます。

3. 毒性試験とは

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全7回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 食品添加物とは?
  • 第2回 食品添加物のメリット・デメリット
  • 第3回 食品添加物の種類
  • 第4回 食品衛生法と食品添加物
  • 第5回 食品添加物の安全性
  • 第6回 食品添加物の表示ルール
  • 第7回 食品添加物指定の条件と流れ

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