さまざまなろ過操作|ろ過の基礎知識6

ろ過の基礎知識
著者:名古屋大学大学院 工学研究科 化学システム工学専攻 准教授 向井 康人

これまで「ケークろ過」、「閉そくろ過」、「ケークレスろ過」などの主なろ過操作について解説してきました。最終回の今回は、その他特筆すべきろ過操作についていくつかピックアップします。具体的には、前回も少し触れた「周期逆洗型ろ過」、「電場を利用したろ過」、「超音波を利用したろ過」、産業でよく適用されている「ろ過助剤を利用したろ過」、「遠心ろ過」の5 つの項目について説明します。

第6回「さまざまなろ過操作」を解説していきます。

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1. 周期逆洗型ろ過

逆洗とは、ろ材の逆側から高圧で洗浄液を流し、ろ材表面に溜まったケークを洗い流すことをいいます(図1)。ろ過操作と逆洗操作を周期的に繰り返す手法を周期逆洗型ろ過といいます。これも広義のケークレスろ過です。難ろ過性の懸濁液を処理する場合には、前回説明したケークレスろ過の適用が極めて有効です(第5 回参照)。一方、ケーク比抵抗が小さい場合や、ごく希薄な懸濁液を処理する場合には、ケークろ過でも実用上支障がないことが多く、むしろエネルギー消費量が小さく抑えられる点で優位ともいえます。しかし、大なり小なりケークが生成され、ろ過効率が低下するという問題は避けられず、長時間にわたって安定的にろ過を継続するのは困難です。

周期逆洗型ろ過の概念図
図1:周期逆洗型ろ過の概念図

図2 は、周期逆洗型ろ過のろ過挙動の一例です。定速ろ過のケースを選択したので、ろ過圧力Δp の経時変化を示しています。ろ過の進行とともにケークが成長してろ過抵抗が次第に増加し、ろ材を通る前と後の差圧が増大します。そこで、ろ過圧力が各サイクルの初期差圧から+60kPa増加した時点でろ過操作をいったん休止し、洗浄液(ろ液の一部)を逆側から高圧で流す逆洗操作を起動するように設定しました。その結果、逆洗操作を起動させるたびにろ過圧力は清浄なろ材の差圧付近まで低下し、効率的なろ過操作を継続することができました。

周期逆洗型ろ過の挙動
図2:周期逆洗型ろ過の挙動(引用:ThanOhn、MS Jami、EIritani、Y Mukai and NKatagiri、SeparationScience and Technology、Vol.38、No.4、P.951-966、2003年)

しかしながら、各サイクルの初期差圧に注目すると、サイクル数の増加とともに物理逆洗では回復できない不可逆的なろ材閉そくが進行するため、初期差圧は徐々に上昇する傾向を示しています。このような場合には、物理逆洗のサイクルをある程度繰り返したところで、逆洗水に次亜塩素酸ナトリウムなどの薬剤を添加して化学逆洗を行います。そうすることで、初期差圧を清浄なろ材の差圧とほぼ等しい程度まで回復させることができます。

2. 電場を利用したろ過

一般にコロイド粒子は電荷を帯びています。第4 回で説明した通りコロイドのろ過では、コロイド粒子の電気的特性がろ過特性に大きな影響を及ぼします。ここで説明する電場を利用したろ過(電気ろ過)とは、電荷を帯びたコロイド粒子の動きを電場の印加によってコントロールして効率的にろ過を行う方法で、ケークレスろ過の一形態に当たります(図3)。

コロイド粒子は電界中で電気泳動する性質があります。すなわち、コロイドに直流電場を印加すると、正に帯電している粒子は陰極方向に、負に帯電している粒子は陽極方向に移動します。この性質を利用すると、コロイド粒子の堆積によるケークの成長を抑えることができます。図3は、電気ろ過の原理を模式的に示しています。この図では、負に帯電したコロイド粒子を対象にしています。従って、ろ材を挟んで供給液側に陽極、ろ液側に陰極を設置して電場を印加します。これにより、粒子は陽極、すなわち、ろ液の流れる方向と逆向きに電気泳動するので、ろ材面への粒子の移動が抑制されます。

電気ろ過過程の 陽極概略
図3:電気ろ過過程の 陽極概略

粒子は、ろ過操作によって液体と一緒にろ液流れの方向にろ過速度q(m/s) で移動します。そこに直流電場を印加すると、粒子はろ液の流れる方向と逆向きに泳動速度uE(m/s) で電気泳動します。結果として、正味の移動速度がq‒ uE となり、ケークの形成が緩やかに進むことになります。ろ過速度q はケーク形成の進行に伴って減少するのに対し、電気泳動速度uE は電場強度が一定であれば一定に保たれます。従って、やがてq はuE に等しくなり、粒子の上下の移動が釣り合って、液中の粒子は見掛け上止まります(q-uE=0)。これ以降は一定のろ過速度でろ過が進行するため、長時間のろ過操作が可能になります。

図4 は、電気ろ過のろ過挙動の一例を示しています。定圧ろ過の結果なので、ろ過速度の逆数(1/q) 対単位ろ過面積あたりのろ液量v の形でプロットしました。電場を印加しない通常のろ過(E=0)ではケークが成長を続けるので、プロットは直線的に増加します。しかし、電場を印加することで、ろ過速度q の低下(1/q の増大)が抑えられて、一定速度uE(プロットは1/uE)に漸近する傾向を示します。図4 ではさまざまな電場強度E での実験結果を示しています。電場強度E が大きいほど電気泳動速度uE の値は大きくなるので、ろ過速度の定常値も大きくなります。図の曲線は、次の理論式による計算値です。v が∞のとき、1/q が1/uE になることを示しています。

なお、上式中のK は定圧ろ過係数で、図の電場なしの直線の理論式1/q=(2/K)v に含まれるKと同じ値です。

電気ろ過のろ過挙動
図4:電気ろ過のろ過挙動(引用:Iritani E、Y Mukai and Y Kiyotomo 、J o u r n a l o fMembrane Science、Vol.164、P.51-57、2000年)

3. 超音波を利用したろ過

4. ろ過助剤を利用したろ過

5. 遠心ろ過

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 ろ過とは
  • 第2回 ケークろ過と閉そくろ過
  • 第3回 ケークろ過の解析と評価
  • 第4回 膜によるコロイドのろ過
  • 第5回 ケークレスろ過
  • 第6回 さまざまなろ過操作

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