前回は、ケークろ過過程を記述する理論モデルとして、定圧ろ過と定速ろ過の各モデルを説明しました。今回は、これらのモデルを活用し、ケークろ過特性を理解する上で必要不可欠なケーク構造の解析方法について、詳しく解説します。まずは、ケークろ過のデータ解析方法から見ていきます。
第3回「ケークろ過の解析と評価」を解説していきます。
1. ケークろ過のデータ解析方法
ケークろ過のデータ解析方法を説明する前に、まずは、前回解説した定圧ろ過モデルと定速ろ過モデルをおさらいします。
定圧ろ過モデル
定速ろ過モデル
次に、ケークろ過データのプロット法を見てみましょう。図1は、定圧ろ過のプロット法と定速ろ過のプロット法です。
定圧ろ過では、時間とともにろ液の流れ方が緩やかになるので、ろ液量の経時変化を測定します。ろ液を受け取る容器を電子てんびんの上に載せて、ろ液重量Wf(kg)対ろ過時間t(s)のデータを取るのが簡便です。ろ液重量Wfの値をろ液密度ρ(kg/m3)、ろ過面積A(m2)の値を用いて単位ろ過面積当たりのろ液量v(m3/m2)=Wf/(ρA)に変換します。式1に基づくろ過速度の逆数dt/dv対v、もしくは式2に基づく総括的なろ過速度の逆数t/v対vのデータを図示します。dt/dv対vについては、dt/dv≒Δt/Δvと考え、(t i+1 -ti)/(v i+1 -v i )を(v i +1+v i )/2に対してプロットすれば図示できます。t/v対vについては、普通にt i /v i をviに対してプロットすれば結構です。式1、式2が示すように、ケーク形成が理想的に進行すれば、図1の定圧ろ過のグラフのようにきれいな直線関係を示します。総括値t/vのプロットは、計算がしやすく比較的きれいな直線のグラフになります。微分値dt/dvのプロットは、ろ過の途中で何かが起こったときその変化が即座に検出されます。
定速ろ過では、時間とともにろ過器内の圧力Δp(Pa)が増加します。そこで、Δp-Δpm対tのデータを測定し、両対数軸でプロットすると、図1の定速ろ過のグラフのように直線関係を示します。詳しくは後述します。
2. ケークの圧縮性と構造
ケーク層は一般に圧縮性を示し、その構造は均質ではありません。
図2は圧縮性ケークの内部状態です。ろ液は右から左に流れています。ろ液はケーク層内の粒子間隙の抵抗を受けながら透過するため、液圧ΔpLはろ材に近づくにつれて減少します。一方、ケーク内の粒子はその抵抗に相当する圧縮圧力を受けるため、圧縮圧力Δpsはろ材に近づくにつれて増大し、ΔpL+Δps=Δpの関係が保たれます。その結果、ケーク表面付近は湿潤で、ろ材に近づくにつれて緻密化し、ケークの空隙率は減少し、ろ過比抵抗は増大します。
ろ過圧力Δpを増加させると、ケーク内の各粒子にかかる圧縮圧力は増大し、結果としてケークの総括的特性値である平均空隙率ε av は減少し、平均ろ過比抵抗α av は増大します(α av の定義は第2回を参照)。このα av の圧力依存性は、一般に次の実験式で近似できるといわれています。
ここで、α1とnは定数、特に指数nは圧縮性指数と呼ばれ、ケークの圧縮性の指標となる値です。式3に式4を代入して整理すると、定速ろ過式が次のように与えられます。
Δp-Δpm対tの両対数プロットは直線関係を示すと前に述べました。この式からそれを理解することができます。
3. ろ過比抵抗の評価方法
4. 空隙率の評価方法
5. 圧縮性指数の評価方法
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 ろ過とは
- 第2回 ケークろ過と閉そくろ過
- 第3回 ケークろ過の解析と評価
- 第4回 膜によるコロイドのろ過
- 第5回 ケークレスろ過
- 第6回 さまざまなろ過操作