前回は、工場における工事の安全対策を解説しました。今回は、発生件数が多い挟まれ・巻き込まれ事故の防止策を取り上げます。設備の清掃・保守・点検などの作業中に、確実に設備を止める方法として、ロックアウト・タグアウトをご紹介します。
第5回「ロックアウト・タグアウトとは」を解説していきます。
1. 挟まれ・巻き込まれ事故の防止策
厚生労働省の労働災害の統計(2016年)によると、挟まれ・巻き込まれ事故は、死傷災害の発生件数で第4位(14,136人が死傷)でした(参照:第1回)。前年の2015年(図1)でも、挟まれ・巻き込まれ事故は第3位(14,513人)でした。挟まれ・巻き込まれ事故は、労働災害の死傷事故の中でも、発生件数が多い事故です。
これらの事故は、設備の清掃・保守・点検・調整・設定などの作業中に多く発生しています。その原因は、止めたはずの設備の思わぬ作動にあります。想定外の設備の作動を完全に防ぐことができれば、挟まれ・巻き込まれ事故の件数を大幅に減少できます。想定外の設備作動を防ぐ方策として、エネルギー源の確認、電源・圧力エネルギーを遮断するロックアウト・タグアウト、遮断の確認、グループロックの4つを説明します。
2. エネルギー源の確認
想定外の設備作動を防止するには、エネルギー源を断つ必要があります。多くの設備のエネルギー源は、電気です。大きな設備では、電源が複数あることも多く、全てを遮断する必要があります。また、電気以外のエネルギー源がある場合、遮断の確認が抜けないように特に注意しなくてはいけません。
袋詰め装置の保守・点検時の話です。担当者が事前に電源を遮断して装置内に入り、作業を開始しました。しかし、しばらくするとエアシリンダが突然作動し、身体を挟まれてしまいました。原因は、計装空気(空気圧で測定装置や制御装置を制御するための空気)がエアシリンダに入り込んだためです。この装置では、計装空気の圧力もエネルギー源でした。容器に残った圧縮ガスや液化ガスも、エネルギー源となるので注意してください。
電気以外のエネルギー源と同時に、複数存在する電源にも気を付けましょう。設備の中に身体の一部を入れて作業する場合は、事前に図面や仕様書で、設備や装置にどのようなエネルギー源があるかを確かめます。確実に全てを遮断することが大切です。
3. ロックアウト・タグアウト
4. 遮断の確認
5. グループロック
全5回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 工場の事故の原因
- 第2回 反復的負荷障害とエルゴノミクス
- 第3回 手と指先の安全対策
- 第4回 工場における工事の安全対策
- 第5回 ロックアウト・タグアウトとは