無人機械加工工場の変遷と自動組立工場|FAの基礎知識5

FAの基礎知識

著者:神戸大学 大学院 工学研究科 機械工学専攻 教授 白瀬 敬一

前回は、製品の生産形態に合わせた工場自動化について解説しました。今回は、製品の生産量に対応した自動組立工場を取り上げます。また、1980年代から2000年代にわたる無人機械加工工場の変遷についても紹介します。

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1. 無人機械加工工場の変遷

無人機械加工工場の変遷について、第1世代の無人機械加工工場、第2世代の無人機械加工工場、第3世代の無人機械加工工場の3つについて説明します。

・第1世代の無人機械加工工場
1980年代の機械加工工場では、パレットマガジン装置(第4回)を備えたマシニングセンタによる、夜間無人運転が行われました(図1)。これが、第一世代の無人機械加工工場で、日中に作業者がパレットにローディング(取り付け)したワーク(工作物)を、夜間にマシニングセンタが無人で加工していきます。ワークの数と加工時間に左右されるものの、およそ24時間の無人運転が可能でした。

第一世代の無人機械加工工場(提供:ファナック株式会社)
図1:第一世代の無人機械加工工場(提供:ファナック株式会社)

・第2世代の無人機械加工工場
1990年代の機械加工工場では、立体パレットストッカ(自動倉庫)と無人搬送車(AGV)を備えた複数のマシニングセンタやターニングセンタによる、週末の無人運転が行われました(図2)。これが、第2世代の無人機械加工工場で、前回紹介したFMS(Flexible Manufacturing System)の形態になっています。第一世代の無人機械加工工場と比較すると、立体パレットストッカ(自動倉庫)に数多くのパレットを収納できることから、週末から週明けまで、72時間の無人運転が可能でした。しかし、作業者によるワークのローディング(取り付け)とアンローディング(取り外し)が必要であり、しかも、長時間の運転になるほど数多くのパレットと大容量の立体パレットストッカ(自動倉庫)が必要であることから、連続無人運転できる時間は限られていました。

第二世代の無人機械加工工場(提供:ファナック株式会社)
図2 :第二世代の無人機械加工工場(提供:ファナック株式会社)

・第3世代の無人機械加工工場
2000年代になると、第2世代の無人機械加工工場と同じくFMSの形態であるものの、ワークのローディングとアンローディングは、作業者に代わってロボットが行います(図3)。これが、第3世代の無人機械加工工場で、ロボットセルと名付けられました。

第三世代の無人機械加工工場(提供:ファナック株式会社)
図3:第三世代の無人機械加工工場(提供:ファナック株式会社)

また、第2世代の無人機械加工工場と同数のパレットと、同容量の立体パレットストッカ(自動倉庫)であっても、図4に示すように、ロボットがワークのローディングとアンローディングを繰り返すことから、長時間の連続無人運転(ファナック株式会社によると720時間)が可能になりました。

ロボットによるワークのローディングとアンローディング(提供:ファナック株式会社)
図4:ロボットによるワークのローディングとアンローディング(提供:ファナック株式会社)

ファナック株式会社は、ロボットセルの開発に際して、サーボハンド、ビジョンセンサ、立体センサ、専用の加工治具を準備しました。

サーボハンド:
サーボハンドは、形状や寸法が異なる多様なワークが把持できるよう、サーボモータでハンドの把持位置を制御します(図5)。

多様なワークを把持するサーボハンド(提供:ファナック株式会社)
図5:多様なワークを把持するサーボハンド(提供:ファナック株式会社)

ビジョンセンサ:
ビジョンセンサは、バラ置きされたワークのカメラ画像から、サーボハンドで把持するワークを認識します(図6)。

ビジョンセンサによるワークの認識 (提供:ファナック株式会社)
図6:ビジョンセンサによるワークの認識 (提供:ファナック株式会社)

立体センサ:
立体センサは、ワークを把持するロボットとは別のロボットが、立体センサでワーク把持位置を認識し、ローディングの際の設置位置を修正します(図7)。

立体センサによるワーク把持位置の認識と設置位置の修正(提供:ファナック株式会社)
図7:立体センサによるワーク把持位置の認識と設置位置の修正(提供:ファナック株式会社)

専用の加工治具:
専用の加工治具は、機械加工の第2工程において、ワークをプルボルト(ワークを加工治具に引き寄せて固定するためのボルト)と油圧クランプ(油圧を用いてプルボルトを固定する装置)を用いて正確に把持します(図8)。ロボットは、ソフトフロート機能(ワーク把持位置のばらつきに左右されず、取り付け時の力を加減しながら位置決めをする機能)により、把持したワークを加工治具に取り付けます。

ソフトフロート機能によるワークの加工治具への取り付け(提供:ファナック株式会社)
図8:ソフトフロート機能によるワークの加工治具への取り付け(提供:ファナック株式会社)

2. 生産量の変動に対応する自動組立工場

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 ものづくりの歴史と工場自動化(前編)
  • 第2回 ものづくりの歴史と工場自動化(後編)
  • 第3回 インダストリー4.0(第4次産業革命)
  • 第4回 生産形態に合わせたFA
  • 第5回 無人機械加工工場の変遷と自動組立工場
  • 第6回 協働ロボットの登場と近未来のスマートファクトリー

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