前回は防爆電気機器を説明しました。今回は、粉じんの危険性と粉じん防爆電気機器について解説します。細かい粒子の粉じんは、通風口のようなすきまがある電気機器内に入り込みます。粉じん防爆電気機器は、ガス蒸気に対する防爆とは異なり、機器の表面温度を着火防止のために制限するだけでなく、機器内部に粉じんが侵入しにくい構造が必要になります。
第6回「粉じんの危険性と粉じん防爆構造」を解説していきます。
第6回もくじ
1. 粉じんの危険性と爆発防止
大気中に舞った小麦粉や砂糖などの粉じんに着火すると、火災や爆発災害が起こることは、それほど知られていません。粉じんなどの「可燃物」、静電気が原因で起こる火花放電や電気火花などの「着火源」、空気中の「酸素」。この 3 つがそろうと、火災や爆発災害が発生します。
火災や爆発災害の原因となる有機溶剤を使用するとき、着火源の排除が求められているように、以下の 5 つの粉じん爆発を防ぐための対策が求められています。
・大気中に粉じんが舞って爆発性雰囲気とならないようにする「粉じん雲の生成防止」
・アルミニウム粉やマグネシウム粉のような金属の粉じんを漏えいさせないようにする「粉じんが発生しやすい装置および容器の密閉化」
・粉じん雲を生成しないようにする「正常状態における粉じんの漏えい防止」
・生産設備の長期使用時に起こる「装置の劣化などによる粉じんの漏えい防止」
・堆積した金属などの粉じんへの着火を防止する「堆積粉じんの除去」
これらの対策を講じても、粉じん雲の生成が防げないときは、粉じん防爆構造の電気機器を使用することが必要です。またその電気機器の使用には、粉じん防爆電気配線の工事を行うことが求められます。
2. 可燃性粉じんと発火度
たき火をしたときに発生する煙が白く見えるのは、微粒子が火災で発生する上昇気流で舞い上がっているためです。小麦粉のように、粒子の粒が細かくなればなるほど、細かい粒子は浮遊するようになります。
発泡スチロールを手で割ったとき、粒子は静電気で帯電し、手に発泡スチロールの粒が付きます。これは雷雲と同じように、粒子が帯電した粉じん雲となります。雷雲の積乱雲から雷が発生するように、静電気で帯電した粉じん雲から火花放電が発生することは容易に想像できるでしょう。
表 1 は、可燃性粉じんの発火度と主要な危険性を表します。発火温度(1)は高温表面における体積粉(厚さ 5mm)の発火温度です。発火温度(2)は粉じん雲の発火温度のことです。表 1 中の発火度 11 は発火点が 270℃を超える粉じん。発火度 12 は発火点が 200℃を超え270℃以下の粉じんのことです。
可燃性粉じんとは、小麦粉やでん粉、その他の可燃性の粉じんです。大気中に浮遊した状態で着火したときに爆発する恐れがある粉じんのことで、爆燃性粉じんを除きます。爆燃性粉じんとは、マグネシウム(Mg)やアルミニウム(Al)などの粉じんで、大気中に浮遊した状態、または集積した状態で着火したときに爆発する恐れのある粉じんのことです。
3. 粉じん防爆構造
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 火災や爆発と防爆電気設備
- 第2回 ガスや粉体の使用と危険な場所
- 第3回 爆発防止の考えと実施
- 第4回 防爆電気機器とガスの危険性
- 第5回 防爆電気機器
- 第6回 粉じんの危険性と粉じん防爆構造