前回は、防爆電気機器とガスの危険性を説明しました。今回は、防爆電気機器について解説します。火災や爆発災害を防止するため、電気機器の防爆構造には、設置する危険場所の分類などから、耐圧防爆構造、内圧防爆構造、油入防爆構造、安全増防爆構造、本質安全防爆構造、樹脂充填防爆構造、粉体充填防爆構造、非点火防爆構造、特殊防爆構造が適用されています。
第5回「防爆電気機器」を解説していきます。
1. 着火源と電気機器
これまでに電気火花や、静電気の放電、電気機器の高温部などが着火源になる例を述べてきました。火災や爆発災害を防止するには、着火源がガス蒸気に触れないようにすることが必要です。電気機器の正常運転時(使用時)における機器の表面温度と電気火花は、故障時(事故時)のものとは異なります。そのため、防爆対策の考え方とレベルが変わります。電気機器につなぐ電気配線は、安全電流を超える電流を流したときに過熱することはあるものの、正しく使用していれば着火源となる可能性は低いといえます。
しかし電線を引っ張ることで起こる断線や、電線の上に重たい物を置いたりすることで起こる短絡、大地に電流が流れる地絡が起こるとき、着火源となる電気火花が発生します。このような電気火花の発生を防ぐために、防爆対策が必要になります。電気配線の接続部や配線用付属品などにおいても、着火源とならないように防爆対策の検討が必要です。電気機器の防爆対策は 4 つに分類されます(表 1)。
本質安全防爆構造の国際規格の IEC60079-11 では、着火源と見なされない限界値として、「1.5 V、100 mA および 25 mW を超えないエネルギー発生源」とされます。このエネルギー発生源の Simple apparatus(単純機器)の例には、スイッチ、接続箱、抵抗器、簡単な半導体デバイスなどや、コンデンサ、インダクタなどのエネルギー蓄積源の他、熱電対、フォトセルなどがあります。
2. 防爆電気機器の設計
長く伸びたコードや白熱電球、電気ヒータなどの一般的な電気機器は高温になる面があります。電気機器の配線に電流が流れると、電気抵抗を持つ配線などから熱が生じることが原因です。
防爆電気機器は、高温部が原因で起こる火災や爆発災害の発生を防止するため、温度設計を行うことが求められています。防爆電気機器の設計や製作に関する法的なものには、厚生労働省による「電気機械器具防爆構造規格(以下、構造規格)」と「工場電気設備防爆指針―国際規格に整合した技術指針 2008(以下、防爆指針)」があります。防爆電気機器を設計するときは、防爆指針に準じます。
タイヤのホイールにも使われることのあるマグネシウムは、水をかけたときに発生する水素に着火することで、爆発災害の原因にもなります。このような物質を容器に使うときは、特別危険箇所用のものであり、アルミニウム、マグネシウム、チタンおよびジルコニウムを総量で 10%を超えないこと、またはマグネシウム、チタンおよびジルコニウムを総量で 7.5% を超えないことが必要です。
容器を乾いた雑巾などで拭くと、その容器が静電気で帯電します。静電気が原因で着火することを防止するため、容器の表面抵抗は、温度で約 23℃、相対湿度が約 50% の条件で 1 GΩを超えないことが必要です。容器の金属以外に当たる箇所の表面積は、可能な限り小さくする必要があります。
3. 電気機器の防爆構造
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 火災や爆発と防爆電気設備
- 第2回 ガスや粉体の使用と危険な場所
- 第3回 爆発防止の考えと実施
- 第4回 防爆電気機器とガスの危険性
- 第5回 防爆電気機器
- 第6回 粉じんの危険性と粉じん防爆構造