前回は、火災や爆発と防爆電気設備を説明しました。今回は、ガスや粉体の使用と危険な場所について解説します。専門家が注意して作業していても、ガスや粉体による火災や爆発災害を作業中に引き起こしてしまうことがあります。また、可燃性のガス蒸気や粉体が充満した室内で隠れてタバコに火を付けようとすれば、火災や爆発災害が起こります。爆発災害を防止するためしっかりと学びましょう。
第2回「ガスや粉体の使用と危険な場所」を解説していきます。
1. ガスや粉体の使用と爆発防止
ガスコンロに火を付けるとき、そのコンロに入れた乾電池を使って、静電気放電のような電気火花を発生させます。ライターは、圧電素子による振動や圧力により電圧が発生し、そこで生じる電気火花で着火します(図 1)。
ガソリンスタンドで給油中に静電気放電が発生すると、ガソリンに着火する恐れがあります。また、可燃性ガスが充満していることに気付かず、タバコに火を付けようとしたとき、火災や爆発が起こる可能性もあります。最近は、安全なガス器具の普及に伴って、ガスコンロからのガス漏れが原因で起こる火災は減少傾向にあることが期待されます。
ガスや粉体が大気中に存在している際に、静電気放電や電気火花などの着火源があると、火災や爆発を引き起こす可能性が高くなります。例えばメタン、エチレン、プロパン、ガソリン、水素などのガスや、マグネシウム粉、アルミニウム粉などの金属粉、製粉、精糖などの粉体食品、または、穀物サイロ、綿、麻、絹などの易燃性繊維くずなどの粉体が該当します。それらのガスや粉体を使用するときには、火災や爆発が起こらないよう、次のような注意が必要になります。
まず、ガスや粉体が可燃性の雰囲気にならないように換気を行うことです。次に、静電気放電や電気火花などの着火源が発生しないようにすることです。ガスや粉体の火災や爆発災害は、その分野の専門家が注意して実験していても、実験中に引き起こしてしまうことがあります。着火源としては、摩擦、衝撃火花などの「機械的着火源」、電気機器や電気配線からの火花や熱、または静電気火花の「電気的着火源」、裸火や高熱面や電磁波などの「その他の着火源」があります。どのような着火源で、どのようなガスや粉体が火災や爆発災害を起こすのか、そのようなことを知っておくことは災害の防止にとても役立ちます。さらに、前回説明した防爆電気設備を使用していれば、火災や爆発が起こる可能性をかなり低くすることができます。
2. ガスや粉体を使用する場所
ガス蒸気を取り扱う場所としては、石油精製・石油化学工場、半導体製造工場、医薬品製造工場、火力発電所(LNG・原油焚き)、塗装作業所(自動車、電気製品、家具など)、ガスパイプラインの施設、温泉掘削施設、合成樹脂製造工場、電気製品製造工場、ゴム製品製造工場、機械部品洗浄作業所、ガソリンスタンド、水素ステーション、印刷作業所、油槽所、石油掘削施設、トンネル工事現場、LNG/LPG 充填所、空港の燃料充填所、下水処理プラントなどが挙げられます。
可燃性粉体(粉じん)を取り扱う場所としては、上に述べたように金属粉や粉体食品、穀物サイロの内部、易燃性繊維くずの浮遊する工場が挙げられます(図 2)。以上のような工場では、火災や爆発災害の防止策をしっかり取り組むことが必要といえます。
普段の生活の中で、帯電した人体から発生する静電気放電が木造住宅の火災の原因となることは、ガソリンでもまかない限り困難です。しかし、ガス蒸気や粉体は、静電気でも火災や爆発災害を引き起こします。一般的に、乾燥した環境で 2 つのものが摩擦すると静電気が発生しやすくなります。衣類の着脱や、じゅうたんを歩く時の摩擦などは静電気による電圧を生じさせます。
最小着火エネルギー(着火する一番小さなエネルギー)を小さい順に並べると、水素、ガソリン、メタン、プロパン、ベンゼン、アセトン、トルエン、メタノールの順になります。エアコンを使用した室内を歩行する人体の帯電電圧が 8 キロボルト程度になったとき、静電(放電)エネルギーは、これら全ての最小着火エネルギーを超えてしまいます。帯電した状態でドアノブなどの金属に触れると、静電気放電が発生します。その時、室内に可燃性のガス蒸気や粉体が充満していたら、間違いなく火災や爆発災害が起こります。
3. ガスや粉じんの危険な場所
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 火災や爆発と防爆電気設備
- 第2回 ガスや粉体の使用と危険な場所
- 第3回 爆発防止の考えと実施
- 第4回 防爆電気機器とガスの危険性
- 第5回 防爆電気機器
- 第6回 粉じんの危険性と粉じん防爆構造