EMC(電磁両立性)には、エミッション(電気・電子機器が発する電磁ノイズ)と、イミュニティ(電磁ノイズに対する電気・電子機器の耐性)の2つの性能があります。前回は、エミッションを解説しました。今回はイミュニティを取り上げ、その評価方法と代表的なノイズ源を説明します。
第3回「イミュニティとは?」を解説していきます。
第3回もくじ
1. イミュニティとは
私たちが生活している環境には、さまざまな電磁ノイズが存在します。このような環境において、電気・電子機器が正常に動作する能力や、電磁ノイズに対する耐性を、イミュニティといいます。イミュニティ対策が不十分な電気・電子機器は、電磁ノイズにより誤作動を起こす可能性があり、重大な事故になりかねません。
電磁ノイズは、種類によってノイズの大きさや波形、侵入方法などが異なるため、イミュニティ試験では代表的な電磁ノイズを模擬して行います。また、実際の試験では、侵入する電磁ノイズの種類により許容される誤動作が決められています。そのため、どのような電磁ノイズが侵入した場合でも、誤動作が許されないわけではありません。
2. イミュニティの評価
電気・電子機器のEMCを評価する場合、どのような結果なら、問題があるのかを決める必要があります。エミッション試験では、製品の種類や利用する環境などに応じて、電磁ノイズの大きさの許容値を決定します。表1に、日本の情報処理装置等電波障害自主規制協議会が定めたマルチメディア機器に対する自主規制(VCCI:Voluntary Control Council for Information Technology Equipment)における許容値の一例を示します。電気・電子機器から発生する電磁ノイズが許容値以下であれば、問題ないと評価することができます。
これに対し、イミュニティ試験は、電磁ノイズの影響で生じる誤動作の評価を行います。そのため、エミッション試験のように、電磁ノイズの大きさや許容値で評価することはできません。また、誤動作といっても、その内容はあいまいです。前回と同様に、LED電球を例に見てみましょう。
LED電球の機能は発光です。想定される動作も、もちろん発光です。では、誤動作はどうでしょうか? LED電球の誤動作には、明るさの変化、点滅、消灯などがあります(図1)。また、明るさの変化についても、どの程度変化したら誤動作なのかを考える必要があります。
イミュニティ試験の規格では、電気・電子機器に印加する電磁ノイズによって、A、B、Cの3段階による性能判定基準を定義しています(表2)。この性能判定基準を参考に、製造者は自ら、電気・電子機器の性能判定基準を検討する必要があります。そのため、判定基準は、機器の種類や使用環境、用途により異なります。
3. イミュニティのノイズ源
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 EMCとは?
- 第2回 エミッションとは?
- 第3回 イミュニティとは?
- 第4回 エミッション対策
- 第5回 EMC試験の要求
- 第6回 EMC規格の種類
- 第7回 放射エミッション試験と簡易測定