前回は、地震リスク定量化による地震リスク曲線の求め方と、その見方について紹介しました。第 3 回で述べたとおり、リスクの処理は「リスクコントロール」と「リスクファイナンス」に分けられます。リスクは「発生確率(P)× 影響度(C)」で表すことができます。しかし、地震の発生頻度や確率はコントロールできないため、その影響をいかに小さくするかが、地震のリスク処理の主眼となります。今回は、地震のリスクコントロールについて紹介します。
第7回「地震のリスクコントロール」を解説していきます。
1. リスクコントロール
「リスクコントロール」とは、被害の発生を防止したり、被害を最小限に抑えたりするための方策です。一例として、施設の耐震性向上対策や、事業継続計画(BCP:Business Continuity Planning)などの策定が該当します。
地震の企業への影響は、直接的な物的損害にとどまりません。例えば、近年発生した大地震では、自動車メーカーの生産が大きな影響を受けました。これはもともと、下請けの自動車部品メーカーが被災して操業が中断されたことが一因となっています。また、地震でサプライチェーンが寸断し、さまざまな事業が深刻な打撃を受けました。
上記を踏まえて、地震リスクの低減は施設の耐震化だけでなく、非常時の優先リソース配分や取引先との互助体制の構築など、いわゆるレジリエンシー(Resiliency:弾力性のある回復力)の強化が、より重要視されています。これらの対応策を、地震リスクマネジメントに導入して活用していくのです。
2. 建物・施設の耐震性能向上と事業継続計画(BCP)
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 自然災害リスクとは?
- 第2回 リスクの定量化と確率
- 第3回 リスクマネジメントの方法
- 第4回 日本の地震危険度
- 第5回 地震ハザード評価
- 第6回 地震リスクの定量化
- 第7回 地震のリスクコントロール
- 第8回 地震のリスクファイナンス