日本の地震危険度|地震リスクマネジメントの基礎知識4

地震リスクマネジメントの基礎知識
著者:防衛大学校 システム工学群 建設環境工学科 教授 矢代 晴実

前回は、リスクマネジメント手法を説明し、地震リスクマネジメントの概要を紹介しました。今回は、過去に日本で発生した地震被害と今後の地震の危険度を解説します。

第4回「日本の地震危険度」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 日本の過去の地震被害

日本列島は地球上で 4 つのプレートがせめぎ合う特殊な場所にあります。国土面積は世界の地表面積の 0.25% にすぎませんが、全世界のマグニチュード(以下M)6.0以上の地震の約20%は日本で発生しています。さらに、世界の活火山の約 10% は日本にあります。そのため、日本では地震による大きな揺れや津波、火山噴火が多く発生します。

日本で 1923 年の関東大震災以降に発生した主な地震を、表 1 に示します。この表にあるだけでも、M6 後半の地震は約 3 年に 1 度は発生しています。

日本での関東大震災以降の主な地震
表1:日本での関東大震災以降の主な地震(出典:国土交通省気象庁、日本付近で発生した主な地震被害、過去の地震津波被害)

近年発生した主な被害地震を、2 つ紹介します。1 つ目は 1995 年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)です。発生日時は 1995 年 1 月 17 日5 時 46 分で、地震規模は M7.3でした。震度 7 のエリアは神戸市須磨区、長田区、兵庫区、芦屋市、西宮市などです。総務省消防庁の発表によると、人的被害は死者 6,434 人、行方不明者 3 人、負傷者 43,792 人。建物被害は全壊 104,906 棟、半壊 144,274 棟でした。被害が集中した神戸市須磨区から西宮市にかけての、長さ 49km 幅 2km の帯状の範囲は「震災の帯」と呼ばれました。この地域では木造住宅の全壊率が 3 割を超えています。

兵庫県南部地震の発生は、多くの人に衝撃を与えました。その理由は、福井地震以降、数千人規模の死者を出す大地震は発生していなかったこと、神戸という大都市の直下で発生したこと、地震リスクが低いとされていた関西地方で発生したこと、福井地震を契機に設定された震度7 が初めて認定されたことなどが挙げられます。

2 つ目は、記憶に新しい東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)です。発生日時は、2013 年 3 月 11 日 14 時 46 分で、地震規模はM9.0 でした。宮城県栗原市では、震度 7 が観測されました。総務省消防庁の発表によると、人的被害は死者 16,278 人、行方不明者 2,994 人、負傷者 6,179 人。建物被害は全壊 129,198 棟、半壊 254,238 棟、一部損壊 715,192 棟でした。青森県から千葉県の太平洋沿岸にかけて、大きな津波被害が発生しました。岩手県、宮城県の太平洋沿岸では、10m を超える津波が押し寄せ、建物や住宅などが流出しました。また、津波に襲われた地域で、石油流出などによる火災も発生しました。

この地震の震源領域は、1978 年の宮城県沖地震と同じ場所です。前回の地震から 35 年経過し、次の大地震発生を注意していました。しかし、発生した地震は M9.0 で、想定していた M7.0 程度を超える規模でした。この地震は、日本周辺のプレートの性状から、日本周辺でM9.0 クラスの地震は発生しないと考えていた地震研究者に大きな衝撃を与えました。

日本は現在、東日本大震災を契機に地震・噴火の頻発期に入り、日本列島の地震・火山リスクは増大したという意見があります。東北地方太平洋沖地震というM9.0 の未曽有の巨大地震が発生したことと、東北地方太平洋沖地震が 869 年に発生した貞観地震と同程度であったためです。日本ではこの 9 世紀の貞観地震の発生の前後で、850 年出羽地震、863 年貞観越中越後地震、864 年富士山の貞観大噴火(2 年間)、864年阿蘇山噴火、867 年鶴見岳(大分県)噴火、867 年阿蘇山噴火、868 年播磨・山城地震、869 年貞観地震、871 年鳥海山(山形県・秋田県)噴火、874 年開聞岳(鹿児島県)大噴火、878 年元慶相模・武蔵地震、880 年出雲地震、887 年仁和地震(南海地震)などがありました。また、富士山噴火、阿蘇山噴火、南海トラフ地震などの大規模災害にも見舞われていました。このことから、専門家間では、日本列島は 1,000 年ぶりの地殻活動期に入ったともいわれています。

2. 日本の今後の地震危険度

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全8回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 自然災害リスクとは?
  • 第2回 リスクの定量化と確率
  • 第3回 リスクマネジメントの方法
  • 第4回 日本の地震危険度
  • 第5回 地震ハザード評価
  • 第6回 地震リスクの定量化
  • 第7回 地震のリスクコントロール
  • 第8回 地震のリスクファイナンス

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