通信システム|ドローンの基礎知識5

ドローンの基礎知識

著者:ドローン検定協会株式会社 代表取締役 山下 壱平

前回は、ドローンの主な機体構成を説明しました。今回は、ドローンに用いられる通信システムについて、その信頼性確保の技術と方法について解説します。ドローンの最も大きな特徴である遠隔操縦を実現するためには、操縦者(送信機)とドローン本体(受信機)を無線で接続する通信システムが必要不可欠です。またその通信の信頼性が飛行の安全性に大きく関わります。

第5回「通信システム」を解説していきます。

基礎知識DL

1. ドローンを遠隔操作する通信システム

ドローン(無人航空機)と有人航空機とで異なる特徴は、その名のとおり、操縦者が機体に乗って操縦を行うか否かという点です。有人航空機は、今日では技術の発達により、通常航行中のほとんどの時間が自動操縦装置によって制御されています。ほぼゼロに近い確率でしか致命的な故障が生じないとされる有人航空機であっても、時に重大な故障が生じる場合があります。当然、自動操縦装置が故障する場合もあります。しかし、操縦者が乗って操縦を行う有人航空機であれば、万が一自動操縦装置が故障しても、パイロット(人)が機体の制御を行うことで、安全な飛行を継続することができます。自動操縦装置が故障しなくとも、飛行中に周りの環境が変化し、離陸時の飛行計画を変更する必要がある場合も、操縦者が機内において自動操縦装置の設定を変更したり、操縦桿(そうじゅうかん)を握ることで解決できます。

もしこれが、ドローンとなるとどうでしょうか。ドローンの飛行も、今日では事前に設定した飛行ルートに基づき、コンピュータが自動的に操縦を行い、航行させることが可能です。この自動操縦の実現のためには、第4回(主な機体構成)で説明した、さまざまな種類のセンサが高精度に飛行状況を計測し、コンピュータが瞬時に機体の制御を行う必要があります。もし、事前に設定した飛行ルートに変更を生じる場合や、センサ類、自動操縦装置に異常が生じた場合は、適切に操縦者(人)による操縦介入が必要となります(表1)。

有人航空機とドローン(無人航空機)の特徴
表1:有人航空機とドローン(無人航空機)の特徴

この時、システム全体の生命線ともいえるのが、無線通信技術です。ドローンにとって、無線通信が行えなくなると、当然外部から制御を行うことができなくなり、最悪の場合、操縦者が意図しない暴走をしてしまう可能性があります。地上からの通信ケーブルを接続したまま飛行する特殊な用途のドローンも存在しますが、ここでは、無線通信を主とするドローンに限って解説します。

2. 実務に応じた無線システムの選択

ドローンが無線通信を用いるのには、主に2つの目的があります。一つは、制御通信を用いて飛行(機体)を制御する信号のやりとりです。もう一つは、映像伝送通信を用いて機体に搭載されたカメラの映像を、リアルタイムに地上にいる操縦者などに映像伝送することです。制御信号用の無線通信は、伝送すべきデータ量が少ないので、帯域幅(無線通信に必要な電波資源の量)より、接続安定性や乗っ取り防止のための秘匿化が優先されます。一方、映像伝送の目的で使用する無線通信は、より鮮明な映像を伝送するため、広い帯域が必要となります。無線通信に必要な電波のリソースには限りがあるため、通信帯域は分け合って利用する必要があります。電波が集中して混雑している環境では、映像伝送に十分な帯域幅を確保できず、映像の伝送が途切れるといった問題が生じます。

制御用と映像伝送用の信号を無線通信で送る方法は幾つか挙げられます(図1)。一つは、制御信号と映像信号を別々の周波数の電波で送信する方法です。安価なトイドローンでも、リアルタイムに映像伝送が可能なものは、主にこの方式を採用しています。制御信号も映像信号もそれぞれ別々の通信ではあるものの、WiFiで用いられる2.4GHzの同じ周波数帯で信号をやり取りします。ただし、この場合、限りある2.4GHz帯を2つの通信で使用するため、周囲の無線環境によっては混信が発生し、映像伝送が途切れるどころか、制御信号さえも途絶えて、ドローンが暴走してしまうこともしばしばあります。

2つの信号を電波で通信する方法
図1:2つの信号を電波で通信する方法

2 つ目は、制御信号と映像信号を別の周波数帯で送信する方法です。上記で発生するトラブルを、できる限り防ぐために用いられます。最も普及している方式としては、制御信号を2.4GHz帯で通信し、映像信号を5GHz帯で通信する方法です。ドローンレースなどに用いられる通信システムでよく採用されています。ただし、5GHz帯の電波を用いるためには、後述する無線免許などが必要になります。

3つ目は、制御信号と映像信号を 重畳 ちょうじょう (信号を合体)し、一つの信号として2.4GHz帯の周波数で通信する方法です。無線免許を要せず、かつ、安定した通信を実現できます。この方法の通信では、同じ周波数帯で使用する信号が一つだけとなるため、比較的安定した通信が可能となります。ただし、送信機が常時無線通信品質を監視して、電波の状況(環境)が悪くなった場合には、映像信号の品質を落として通信データ量を落としたり、場合によっては制御信号のみに切り替えたりする必要があります。そのため、機材が高価になる傾向があります。市販されている中価格帯(10万円から20万円程度)のドローンは、一般的に信号を重畳させる方式を採用しています。映像を確認するモニターやスマホをプロポに接続しなければならないのはこのためです。

3. 法律上の運用注意

続きは資料をダウンロードしてご覧ください!

全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 ドローンとは?
  • 第2回 ドローンの飛行原理
  • 第3回 ドローンの落下原因
  • 第4回 主な機体構成
  • 第5回 通信システム
  • 第6回 ドローンの飛行安定システム

基礎知識DL

  • 資料ダウンロード

    これさえ読めば簡単に利用できる
    「3分でわかるイプロス無料出展会員」

  • 無料掲載

    イプロスで製品・サービスをPR
    無料掲載のお申し込みはこちらから