ドローンの落下原因|ドローンの基礎知識3

ドローンの基礎知識

著者:ドローン検定協会株式会社 代表取締役 山下 壱平

前回は、ドローンの飛行原理について説明しました。今回は、ドローンの落下原因を解説します。ドローンの飛行特性を把握できれば、墜落につながる原因が追究できます。ヘリコプターで採用されている可変ピッチブレードと、マルチコプターなどで採用されている市販の固定ピッチプロペラによる、飛行特性の違いについても理解しましょう。さまざまな墜落要因を想定して、ドローンの運行管理を行う際の安全確保ができることを目指します。

第3回「ドローンの落下原因」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 固定ピッチの功罪

地上に接地している静止した物体(車や電車など)は、何かしらの力を加えなければその場に静止し続けます。しかし、ドローン(以下特筆しない場合は、マルチコプター型)は、ロータを回転させ、ブレードが作り出す揚力と重力を均衡させて空中に静止(ホバリング)している揚力を失うと、空中にとどまることができません。地上に接地した物体と異なり、何もしなければ落下していきます。ここで重要なキーワードは、揚力を失うと落下するということです。つまり、仮にロータが正常に作動してブレードが回転していても、揚力を失えば落下してしまいます。

ドローンを含む回転翼機は、ブレードの回転によって、空気をロータの下方にたたきつけるような気流を作ります。このブレードによって作り出された強い下降気流をダウンウォッシュと呼びます。機体の重さ(離陸重量)が重くなれば重くなるほど、ダウンウォッシュは激しいものとなります。

もし、飛行中の機体が急激に降下すると、自らが作り出した強い下降気流に巻き込まれてしまいます。このとき、ドローンは激しい乱気流に巻き込まれた状態と同じになり、多くの場合制御を失います。ロータが回転している状態で機体が下降すると、ダウンウォッシュに入り込んで揚力を失い、更に下降することでまたダウンウォッシュに入り込んでしまうという現象が連続して生じてしまいます。この現象を、セットリングウィズパワーと呼びます(図1)。セットリングウィズパワーに突入すると、機体は安定と制御を失うため、しばしば墜落してしまいます。人が乗って飛行するヘリコプターも、特別な状況でない限り垂直に降下することはありません。セットリングウィズパワーに突入するのを防ぐには、必ず風向きを考慮して水平方向に移動しつつ降下を行うことが大切です。

セットリングウィズパワー
図1:セットリングウィズパワー

ダウンウォッシュは、その場の風によっていくらか風下側に流されていきます。そのため、降下を行う場合は、風上側に移動しつつ降下させることが必要となります。ドローンは、降下する際に安定を崩しやすく、制御を失い墜落します。これは、セットリングウィズパワーによるもののみではなく、前回解説を行った、ブレードピッチが固定であることも大きな影響を及ぼしています。ブレードピッチが可変である場合、ロータの回転数は一定で、ブレードピッチを変えるだけで揚力の強さを変えることができます。もし、ブレードピッチをマイナスにすれば、下方へ降下する力も生み出すことが可能です。

一方、固定ピッチであるドローンの場合は、ロータの回転数を減少させて揚力を減らし、重力によって下降します。つまり、ドローンの最大下降速度は、ロータを停止した場合に重力の力によって降下するので、自然落下速度が限界となります。この時ロータはほぼ回転しておらず、機体は自由に落下している状態と同じになります。つまり、機体の姿勢を保つ制御を失った状態であるといえます。

ドローンは、姿勢制御を各ロータが作り出す揚力のバランスによって実現しており、機体の安定を取り戻せる傾きには、ある程度限界があります。この傾きの限度を超えると、ドローンは安定した姿勢を取り戻すことができなくなり暴走してしまいます。ドローンの急降下はこれらの悪条件を作り出すことに直結するため、墜落の大きな要因となっています。

2. 主な墜落原因

揚力を失うことによる墜落は、主に急降下が原因であることは先に述べました。他には、バッテリー切れによって動力を失い、揚力も失うため墜落につながるケースもあります。それ以外では、他の障害物に衝突して機体が破損することで、墜落してしまう事故です。当然、操縦者は周りの安全を確保した上でドローンを飛行させる必要がありますが、多くの場合、操縦者が機体を見失い他の物件に衝突してしまう場合や、機体とコントローラー(プロポ)の無線接続が断線して制御を失うことで衝突に至る場合もあります。

また、高性能なドローンに便利な機能として備わっている自動帰還機能も、時として操縦者が意図する飛行経路と異なる動作を行い事故につながる例もあります(図2)。稀に、飛行中にブレードが折れたり、ロータが故障したりして墜落してしまう場合もありますが、多くは事前の整備や点検が不十分であることが原因です。

自動帰還機能時に発生する障害物との衝突例
図2:自動帰還機能時に発生する障害物との衝突例

3. 安全飛行のための対策

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 ドローンとは?
  • 第2回 ドローンの飛行原理
  • 第3回 ドローンの落下原因
  • 第4回 主な機体構成
  • 第5回 通信システム
  • 第6回 ドローンの飛行安定システム

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