前回は、2水準系直交配列表を用いた実験で得られたデータの解析方法を紹介しました。直交配列表実験は、複雑に要因が絡み合ったときに有効な実験法です。今回は、最終回です。要因の取り上げ方、水準の取り方、交互作用の有無など、実験を計画するときの参考になる事柄を紹介します。
第8回「実験計画法の活用」を解説していきます。
1. 要因の取り上げ方
最適水準は1回の実験で全て決まるわけではなく、実験の結果を受け、次の実験の計画を立てるというサイクルを回していく必要があります。初期段階では、どの要因が特性に影響しているか、はっきりとしないことが多くあります。その場合、特性要因図などを用い、特性に影響を及ぼすと思われる因子を挙げ、その中から実験で取り上げる要因を決めていきます。最適な水準組み合わせを見つけるには、まずは特性に影響を及ぼす要因を見つける必要があります。このときに行うのが、部分実施型の直交配列表実験です。
影響がありそうな因子やそれらの交互作用を取り上げると、多くの要因効果を検証することになります。このとき、全ての水準組み合わせで行う要因配置型の実験では、実験が大規模になってしまいます。そこで、一部の水準組み合わせで行う部分実施型の実験が有効になります。
実験の初期段階では、要因効果を見るのが主目的なので、まず各因子には2水準を設定し、2水準系直交配列表実験から始めます(水準数については後述します)。解析が進み、要因の絞り込みができると、水準数を増やして要因配置型の実験を行い、最適な水準を決めます。例えば、4つの因子A、B、C、Dと、交互作用A×Bの効果が認められたとします。この場合、次に行う実験では、因子Aと因子Bには繰り返しのある二元配置法を、因子Cと因子Dはそれぞれ一元配置法を計画します。2水準より多い水準数を取ることもできるため、より詳細な解析を行えます。
このように、まず直交配列表実験で効果のある要因を絞り込み、その後で要因配置型実験を行います。さまざまな実験計画法の手法を活用することで、効率的に解析を進めることができます。
2. 水準の取り方
水準は多く取れば取るほど、多くの情報が得られるように思われます。しかし、水準数が多くなると実験回数も多くなるため、それに見合った情報が得られるかが重要です。2水準を取ったときには、図1のいずれかの結果になります。図1左では第1水準の方が、図1右では第2水準の方が大きく、この差が有意かどうかを検定し、最適水準の値は大きくした方がいいか、小さくした方がいいかを判断することになります。左の場合では、次は水準の値を小さくして実験することを考えます。
一方で3水準を取ったときは、図2のいずれかの結果になります。どの水準で最大となるかによって3通りとなり、最適水準の値は大きくした方がいいか、小さくした方がいいか、あるいは第2水準の周りにあるかを判断することになります。単調に変化している左右両端の2つの図の場合は、3水準を取っても、2水準を取っても、得られる情報には大きな違いはありません。その場合、3水準を取らなくても2水準で十分なことが分かります。
2因子の実験で、2水準なら4通りとなるように、3水準を取ると9通りとなり、2倍以上の実験が必要になります。3水準で1回実験をするよりも、まず2水準で実験をし、その結果を見て水準を取り直し、もう一度2水準で実験をする方が実験回数は少なくなります。3水準を取るのが効果的なのは、最適水準の目安が分かっていて、それを挟むように水準設定ができる場合です。
直交配列表には3水準系もあります。3水準因子を割り付けるときに用います。3水準系直交配列表実験の考え方は2水準系と同じです。しかし、実験はかなり大きくなり、交互作用の現れ方も変わってきます。そのため、むやみに3水準に設定するのではなく、上で説明したような状況で用います。
また、2水準系の直交配列表を用いて、3水準因子を割り付けた実験を計画することも可能です。ほとんどの因子には2水準を設定し、特定の因子にだけ3水準を設定するような場合です。例えば、処理温度、加熱時間、添加剤の種類、添加量の4つを取り上げた実験において、それぞれを2水準に設定するものの、添加剤が3種類ある場合は、3水準を設定した実験が必要となります。このとき用いるのが、多水準法、および擬水準法と呼ばれる手法です。直交配列表の2つの列を用いて、3つの水準を割り付けるものです。これら手法は、本連載では取り上げていません。関心のある方は参考文献を見てください。
3. 交互作用の現れ方
4. 消える要因効果
5. 交互作用の取り方
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 実験計画法とは
- 第2回 一元配置法
- 第3回 二元配置法
- 第4回 交互作用の考え方
- 第5回 乱塊法
- 第6回 直交配列表実験の計画
- 第7回 直交配列表実験の解析
- 第8回 実験計画法の活用