前回は、危険物取扱施設の概要と、危険物取扱者等による保安体制について解説しました。製造所等の種類や取扱数量に応じて、危険物保安監督者、危険物保安統括管理者、危険物施設保安員を置く必要があります。今回は、製造所等での火災の予防、定期的な点検、危険物の貯蔵・取り扱いの基準、消火設備など、保安管理に関する具体的な事項を取り上げます。
第3回「危険物の保安管理」を解説していきます。
第3回もくじ
1. 予防規程
予防規程とは、製造所等の火災予防のために事業所内で定めた保安基準のことをいい、危険物の取扱作業に従事する全ての人が守るべき決まりごとです。製造所等では、危険物取扱者の立ち会いの下で、危険物取扱者ではない人も作業をするため、さまざまな人が安全に作業を行うことができる体制が求められます。このような製造所等での火災を予防するためには、作業に携わる人全員が、正しい理解に基づいた適切な方法で、日ごろの作業に従事することが大切です。予防規定を制定したり変更したりする際には、市町村長等の認可が必要です。市町村長等は、その製造所等の予防規程に変更の必要があると判断した場合、その製造所等の所有者等に対して変更命令を出すことができます。
・予防規程を定める必要がある施設
予防規程は、全ての製造所等で定める必要はありません。予防規程が必要とされるのは、表1に示す7種(製造所、一般取扱所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋外貯蔵所、給油取扱所、移送取扱所)の施設です。そのうち給油取扱所、移送取扱所を除く5つは、保安距離が必要な施設と同じです(第2回、図3)。これらの施設は、取り扱い、または貯蔵する危険物の指定数量の倍数に応じて、予防規程が必要になります。一方で、給油取扱所と移送取扱所では、必ず予防規程を定めなければなりません。つまり、ガソリンスタンドには、必ず市町村長等の認可を受けた予防規程が定められているということです。
・予防規程に定める事項
施設の火災予防のために必要な予防規程には、以下のように、施設の火災・災害予防に関する事項が定められています。
<例>
・当該施設保安のための組織
・危険物保安監督者が不在の時の代行者に関すること
・教育・訓練に関すること
・点検・補修に関すること
・運転・操作法に関すること
・作業基準
・災害時対応(地震や津波を含む)
・保安記録
など
2. 定期点検
定期点検とは、特にタンク設備と配管設備を定期的に点検することで、事故を防ぐのが主目的です。製造所等は12種あり、その形態は実にさまざまです。中でも、タンク設備や配管設備を持つような施設は、タンクや配管等の劣化や破損により危険物が漏えいしたり火災が発生したりするなど、重大な事故につながる恐れがあります。そのため、タンク設備や配管設備を持つ施設を中心に、定期的な点検を行うことが定められています。
定期点検の実施者は、
・危険物取扱者(甲種・乙種・丙種)、およびその立ち会いを受けた者
・危険物施設保安員
が行うことができます。
危険物取扱作業は、丙種による立ち会いができない一方、定期点検は、丙種危険物取扱者の立ち会いの下で実施することが可能です。それらの違いを、表2に整理します。なお、危険物施設保安員に関しては定期点検を実施できます。危険物施設保安員になるために、危険物取扱者資格は不要です。つまり、危険物施設保安員は、危険物取扱者でなくても定期点検を実施できるということになります。
定期点検は、原則として1年に1回以上実施します。また、定期点検の記録は、原則として3年間保存しなければなりません。ただし、定期点検の期間および定期点検の記録の保存期間は両者とも例外があります。
・定期点検が必要な施設
定期点検を実施する必要がある施設を、表3に示します。予防規程を定める必要がある7つの施設に、地下タンク貯蔵所と移動タンク貯蔵所の2施設を加えた合計9施設が該当します。
3. 貯蔵・取り扱いの基準
4. 消火設備
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 危険物とは
- 第2回 消防法による危険物の規制
- 第3回 危険物の保安管理
- 第4回 危険物の物理・化学
- 第5回 第4類の危険物
- 第6回 全ての類の危険物