前回は、消防法上の危険物について、その定義と種類・特性、指定数量の概念、指定数量と法規制の関係を説明しました。指定数量を超える危険物の貯蔵や取り扱いをする際には、消防法に基づいた危険物取扱施設が必要になります。また、取り扱い作業時には、危険物取扱者が必要になります。今回は、危険物取扱施設の概要と、危険物取扱者等による保安体制について説明します。
第2回「消防法による危険物の規制」を解説していきます。
第2回もくじ
1. 危険物取扱施設
前回、指定数量を超える危険物は、製造所等と呼ばれる専用の施設(危険物取扱施設)にて貯蔵、または取り扱いをしなければならないことを解説しました。製造所等とは、製造所の他に、7種の貯蔵所と4種の取扱所を加えた計12種の施設の総称です。製造所等の種類を、図1に示します。
製造所(1)は、その名のとおり危険物を製造する施設です。製油所といえば、イメージしやすいと思います。(2)~(8)の7つは、全て危険物を貯蔵する施設です。(9)~(12)の4つは、危険物を取り扱う施設です。
例えば、ガソリンは第4類の第1石油類の非水溶性物品であるので、その指定数量は200Lです。そのため、200L以上のガソリンを貯蔵する場合は、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所など、消防法に基づく専用の施設で貯蔵する必要があります。ガソリンスタンドでは、指定数量以上のガソリンや軽油、灯油を扱っています。そのため、給油取扱所(9)と呼ばれる、消防法に基づく専用の施設で取り扱いがなされています。
製造所等は、全て消防法に基づき、市町村長等による許可を受けた施設です。そのため、設置や改造を行う際には、市町村長等の許可を受けなければなりません。
2. 危険物取扱者
危険物取扱者とは、都道府県知事が行う危険物取扱者試験に合格し、都道府県知事から免状の交付を受けた者を指します。指定数量以上の危険物は製造所等において貯蔵、または取り扱うことになります。その際には危険物取扱者による取り扱いや立ち会いが必要になります。危険物取扱者には、甲種、乙種、丙種の3種があります。その分類と役割を、表1にまとめます。
製造所等において危険物を扱えるのは、大きくは自らの取り扱いと立ち会いの2種の状況です。
自らの取り扱い:危険物取扱者が自ら取り扱う
立ち会い:危険物取扱者の立ち会いの下で、危険物取扱者ではないものが取り扱う
上記の内容について、甲種、乙種、丙種とでは、できる内容が異なります。
・甲種危険物取扱者
甲種危険物取扱者は、第1類から第6類までの、全ての危険物を自ら取り扱うことができます。また、全ての危険物に対して、立ち会いをすることができます。また、危険物保安監督者になる資格を有します。
・乙種危険物取扱者
乙種危険物取扱者は、危険物の6つの類に応じて、乙種第1類から乙種第6類危険物取扱者まで、合計6種類あります。乙種危険物取扱者は、取得した類の危険物について、取り扱いと立ち会いができます。例えば、乙種第4類危険物取扱者は、第4類の危険物については取り扱いと立ち会いができ、それ以外の類の危険物に対する取り扱いと立ち会いはできません。また、危険物保安監督者になる資格を有します。
・丙種危険物取扱者
丙種危険物取扱者は、第4類の中の一部の危険物(ガソリン、灯油、軽油、他)を取り扱うことができます。ただし、立ち会いはできません。
セルフ式のガソリンスタンドで、危険物取扱者ではない一般客が、自身で給油(危険物取扱)できるのは、なぜでしょう。その理由は、コントロールブース内で危険物取扱者(甲種か乙種第4類)が監視(立ち会い)をしているためです。
3. 危険物取扱の保安体制
4. 保安距離と保有空地
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 危険物とは
- 第2回 消防法による危険物の規制
- 第3回 危険物の保安管理
- 第4回 危険物の物理・化学
- 第5回 第4類の危険物
- 第6回 全ての類の危険物