切削油剤の種類と選び方|切削加工の基礎知識6

切削加工の基礎知識

著者:基盤加工技術研究所代表 工学博士 海野 邦昭

前回は切削工具の種類と選び方を解説しました。今回は切削油剤について取り上げます。

自動車のエンジンはエンジンオイルが不足すると、走行時に焼き付きが生じます。切削加工も同様です。切削時には工具の刃先が高温・高圧になるので、焼き付きを防止し、切れ味を良好に保つために、切削油剤を供給します。切削油剤にはエンジンオイルと同じような不水溶性切削油剤や、牛乳や石けん液のような水溶性切削油剤があります。切削油剤にはさまざまな働きがあり、潤滑効果と冷却効果のどちらを主にするかによって、その選択が異なります。また、切削油剤の給油方法にも種類があり、作業目的に沿って選ぶことが大切です。

第6回「切削油剤の種類と選び方」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 切削油剤の種類

切削油剤には多くの種類があり、不水溶性と、水溶性に大きく分類されます。また不水溶性の切削油剤は、油性形(N1 種)、不活性極圧形(N2、N3 種)および活性極圧形(N4 種)に分類されます(図1)。

切削油剤の分類
図1:切削油剤の分類(引用:JIS K 2241切削油剤)

不水溶性切削油剤は、基油(ベースオイル)、油性剤(油脂類、脂肪酸など)、極圧剤(硫黄など)およびその他の防錆(せい)剤や酸化防止剤などから成ります。油性形は、硫黄などの極圧添加剤(切削時における摩擦局部の焼き付き抑制や、切削性の向上を図るために基油に添加する物質)を含まない不水溶性切削油剤です。極圧形は、極圧添加剤を含み、銅板の腐食の程度により、不活性極圧形N2、N3、活性極圧形N4 種に分類されます(図2)。

不水溶性切削油剤の種類
図2:不水溶性切削油剤の種類(引用:JIS K2241切削油剤)

水溶性切削油剤には、水に溶かすと乳白色になるエマルションA1 種、半透明になるソリューブルA2 種、油を含まない透明な外観を示すソリューションA3 種があります(図3)。

水溶性切削油剤の種類
図3:水溶性切削油剤の種類(引用:JIS K2241切削油剤)

エマルションは、水、油および界面活性剤から成り、油の粒子が大きいのが特徴です。牛乳がこのタイプです。ソリューブルは、水、油、界面活性剤、水溶性添加物、溶解物質から成り、エマルションと比べて油の粒子が小さく、石けん液のように光が透過する透明な液です。ソリューションは、油を全く含まず、水と溶解物質から成り、粒子が非常に小さいのが特徴です。

2. 切削油剤の働き

切削油剤にはさまざまな種類があり、主な働きは潤滑作用、冷却作用、浸透作用、抗溶着作用、さび止め作用、洗浄作用です。

・潤滑作用:摩擦を減らし、工具摩耗や切削抵抗を低減します。
・冷却作用:切れ刃の温度を下げて、工具摩耗を低減します。また工作物の熱膨張を抑制し、良好な加工精度を維持します(図4)。
・浸透作用:切削工具の切削点近傍に、切削油剤を到達させます。
・抗溶着作用:構成刃先の発生を抑制します。
・洗浄作用:切りくずや汚れを洗い流します。
・さび止め作用:工作物の切削面を保護し、さびの発生を抑制します。

切削加工と切削油剤の効果
図4:切削加工と切削油剤の効果(引用:切削油剤基礎のきそ)

3. 切削油剤の選び方

4. 給油方法の種類

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全7回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 切削加工の種類
  • 第2回 切りくずの変形と切削温度
  • 第3回 リボン状切りくずの処理方法
  • 第4回 切削工具材料の種類
  • 第5回 切削工具の種類と選び方
  • 第6回 切削油剤の種類と選び方
  • 第7回 切削条件の決め方

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