前回は、デシル分析やRFM分析など、優良顧客を識別するためのさまざまな分析方法を紹介しました。RFM分析は、既に起こった顧客の購買履歴を3指標で表します。一方、顧客との長期的な関係を重視するCRMでは、将来的な購買行動と維持コストを考慮に入れ、1人の顧客から生涯にわたって得られるであろう収益を最大化することが有効です。今回は、そうした顧客の価値について解説します。
第4回「顧客の価値」を解説していきます。
1. 顧客生涯価値
顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)とは、顧客から生涯にわたって得られる収益のことをいいます。基本的な概念は、平均マージン×購買頻度×生涯期間-顧客維持の総投資額です。
厳密には、
1:既存顧客はまだ生存しており、生涯期間は観測されていないため、過去の離反率から推測する必要がある
2:将来得られる利益は、現在価値(Net Present Value)に換算する必要がある
という2点から、毎年顧客から得られるであろう収益-顧客維持コストを離反率と期待収益率で割り引いて、生涯期間にわたって合算したものになります。毎年の離反率は、定期購読や有料会員の場合であれば解約率に該当します。
しかし、年会費などの支払い義務がなく契約に基づかない関係では、離反する顧客は単に購買をやめるだけなので、解約率が分かりません。このような場合、企業は独自の経験則に基づいて、例えば顧客が3カ月購買しなければ、離反したと判断したりします。ただし、同じ3カ月のリーセンシーでも、購買間隔が長い顧客は離反の心配がない一方で、購買間隔が短い顧客は離反している可能性が高いといえるでしょう。より精緻な方法では、RF(Recency:直近に購入、Frequency:購入頻度)指標を用いて顧客別に離反確率を算出するため、図1のように、より的確に離反・休眠予備軍である顧客(Problem Child)を識別することができます。
2. 顧客資産
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 マスから個々人へのマーケティング
- 第2回 優良顧客の囲い込み
- 第3回 優良顧客を識別する
- 第4回 顧客の価値
- 第5回 1to1マーケティングにおける4Pの側面
- 第6回 ビッグデータとAI