前回は、セル生産方式のメリットである生産性と品質の向上について紹介しました。今回は、セル生産方式を応用したセル生産ラインに関して、「U字ライン」をモデルに設計手順について解説します。
第3回「セル生産ラインの設計手順」を解説していきます。
1. セル生産ラインの設計手順
最初に、セル生産ラインは、どんな製品でも生産できるわけではないことに注意してください。手に持てるぐらいの大きさの製品が最適です。半導体のように小さな製品や、自動車のような大きく重い製品は適しません。特に、重い製品は手で持てないので、搬送する機械が必要となります。
セル生産ラインの中で、「U 字ライン」をモデルに解説します。U 字ラインは、上から見るとU 字型に配置したラインで、複数の作業者で生産を行うものです。従来の5 名のコンベヤラインを、U 字ラインに置き換えを行う設計について解説します。図1 にコンベヤラインのラインバランス分析を示します。サイクルタイムが15秒で、作業時間合計が68秒、総工数が75 秒(サイクルタイム15 秒×5 工程)の製品です。この製品を2 名のU 字ラインで生産できるように設計を行います。
最初に、現状のコンベヤラインの各工程の時間分析として、5 名の作業者の作業時間を測定します。注意点として、コンベヤラインの横に立ってストップウォッチで時間測定しても、正確な作業時間は測定できません。図1 のラインバランス分析では、工程D以外は作業時間がサイクルタイムに達していません。つまり、「手待ち」があるのですが、実際にはこの手待ちが正確に測定できません。作業者は手待ちを嫌い、サイクルタイムに合わせて少し作業をゆっくり行っているため、一人ひとりの正確な作業時間の測定が難しいのです。正確な時間測定を行うためには、2 つの方法があります。
一つは、1人ずつ時間測定を行う方法です。5個程度のワークを準備して、工程A のみを繰り返し作業を行って、作業時間の測定を行います。工程Aが終わったら、工程A が完了したワークを使って、工程B の作業を行います。このように、1 工程ずつ作業を行うことにより、手待ち時間の影響を受けず測定が可能になります。
さらに良い方法は、5 工程全てを1 人の作業者が行って、作業時間を測定する方法です。5 工程の全ての作業ができる多能工がいる場合だけですが、熟練と新人の時間差が少なく測定できます。コンベヤ上で1人の作業者が、順番に1 工程ずつ作業を行って、時間測定をします。作業者が標準作業者であれば、測定時間がそのまま標準時間になります。
2. セル生産の作業配分の方法とは?
次に、5 名のコンベヤラインを、2 名のU 字ラインで生産するために、作業配分を行います。作業配分とは、5 名の作業者の作業を、2 名の作業者に配分することで、2 名の作業時間を同じにすることが重要です。
例えば、ネジを10 本締める作業を、2 人の作業者に5 本ずつに作業配分することは、理論上は可能です。しかし、2 人の作業者に電動ドライバーが必要になり、実際にはできません。ネジ締め作業は1 名の作業者が行い、2 人が同じ作業時間になるように、もう1 人の作業者に別の作業を与えるように調整を行います。
コンベヤラインでは、隣の作業者間でしか作業配分することができませんが、U 字ラインは作業台が対面しているため工程の最初と最後でも作業配分ができます。コンベヤラインとU 字ラインの違いは「作業配分のやりやすさ」で、次の事例で説明します。
作業配分の事例を図2 に示します。5 名で75 秒の作業を、2 名で生産できるようにします。2 名の作業者を、X とY とします。作業者X は、先頭工程から作業配分するのではなく、先頭と最終工程、つまり、工程A と工程E を担当するように作業配分します。作業者Y は、中間の工程B、C、D を担当します。標準作業組合せ票を用いて、作業配分を行った事例を図2 に示します。図2 の緑色枠が作業者X、赤色枠が作業者Yの作業です。
先頭と最終工程を担当することを、IO といい、重要なルールです(詳しくは第5 回で説明)。IO は、Input とOutput の略です。作業者X が、製品1 個を完成させると、ワーク1 個をラインに投入することです。別々の人が先頭と最終工程を行うとバランスが崩れ、ラインの中のワーク数が一定にならないためです。コンベヤラインでは、同じ人が先頭と最終工程を担当できません。
3. 最重要!標準作業組合せ票の作成
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 セル生産方式とは?なぜ使われなくなったのか?
- 第2回 セル生産方式のメリットとは?生産性も品質も向上するってほんと?
- 第3回 セル生産ラインの設計手順
- 第4回 セル生産ラインの設計事例
- 第5回 セル生産方式の注意点
- 第6回 1個流しとは?標準手持ちとは?
- 第7回 現場力がポイント!今後のセル生産方式