原価管理に必要な情報システム|原価管理の基礎知識8

原価管理の基礎知識
著者:株式会社MEマネジメントサービス システム事業部長 橋本 大和 代表取締役 マネジメントコンサルタント 技術士(経営工学) 小川 正樹

前回は、管理・間接部門の原価管理を解説しました。今回は、最終回です。原価情報システムを取り上げます。製造業の収益性向上のために必要なのは、経営陣の的確な意思決定と、標準作業や計画に基づいた生産活動、および改善活動の継続です。原価情報システムの構築と運用は、これらを支援します。

第8回「原価管理に必要な情報システム」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 原価情報システム構築の目的

原価情報システムを構築するには、目的を明確にすることが重要です。そのためには、どのような情報をインプットし、何をアウトプットするかを決定する必要があります。システム構築の目的レベルを設定し、アウトプットを定量化すれば、アウトプットする情報は明確になります。アウトプットの情報が決まれば、インプットすべき情報も定まります。

・ステップ1:システム構築の目的レベルの設定
はじめは、システム構築の目的レベルを設定です。原価情報システムを構築する企業が、現在どのレベルにあり、どのレベルを目指すのかを明確にします。レベル1 効率思考型は、過去より良くなればよいレベルです。レベル2 改革志向型は、資源を効率的に活用するレベル、レベル3 戦略思考型は、新しい事業スタイルを構築するレベルです。

・ステップ2:アウトプットの定量化
次に、システム構築の達成目標と、コスト低減の可能性を定量化します。システム構築の達成目標は、構築する原価情報システムが、各部門にどのくらいの効果をもたらすのかを財務数値で設定します。また、コスト低減の可能性は、改善による原価低減活動(コストリダクション)と、管理による原価管理活動(コストコントロール)に分けて検討します(図1)。原価低減活動は、設計・開発・生産技術などの技術部門が中心となる活動です。一方、原価管理活動は、製造、生産管理、購買などの製造部門が中心となる活動です。

原価低減活動と原価管理活動のコスト低減の可能性
図1:原価低減活動と原価管理活動のコスト低減の可能性

2. 原価情報システム全体像

原価情報システムの全体像を考える上で、重要なのがモノづくりの流れと4 つの原価です。部門や立場が違うと、必要な原価の情報も異なります。原価情報システムでは4 つの原価を扱います。

見積原価:実際の生産を推定して計算された原価
目標原価:技術部門での目標とする原価
標準原価:製造部門で達成が期待される原価
実際原価:実際の生産活動の結果として事後的に計算される原価

4 つの原価を用いると、部門ごとのコストダウン金額が明らかになります(図2)。会社全体のコストダウン金額は「見積原価- 実際原価」、技術部門のコストダウン金額は「見積原価- 標準原価」、製造・購買部門のコストダウン金額は「標準原価- 実際原価」で算出できます。

モノづくりの流れと4つの原価
図2:モノづくりの流れと4つの原価

原価情報システムを構築するポイントは、標準原価の一元化です。図3は、ある自動車部品メーカーにおける原価情報システムの全体像です。製品別の標準原価を原価情報データベースとして登録し、必要に応じて、標準原価はもとより、実際原価や見積原価に置き直して抽出します。このように、標準原価をベースにした原価情報システムが理想的です。

標準原価の一元化による原価情報システムの全体像
図3:標準原価の一元化による原価情報システムの全体像

3. 各部門別・原価情報の使い方

4. 技術情報と原価情報の統合

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全8回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 原価管理とは?原価の見える化とは?
  • 第2回 原価企画とは
  • 第3回 研究・開発部門による理想材料費の追求
  • 第4回 生産技術部門による理想加工費の追求
  • 第5回 製造部門による標準原価の追求
  • 第6回 受発注部門による売値と買値の追求
  • 第7回 ABM・BSCを用いた間接部門の生産性向上
  • 第8回 原価管理に必要な情報システム

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