前回は、アルミニウム、ステンレス鋼、銅の腐食を解説しました。今回は、耐食について解説します。金属材料は、淡水、海水など、さまざまな環境で使用されます。それぞれの環境で生じる腐食現象と耐食材料について学びましょう。
第3回「環境の腐食性と耐食材料」を解説していきます。
1. 腐食環境の種類
腐食環境には、淡水・海水・大気・土壌・酸・アルカリ・高温などがあり、腐食の要因はそれぞれ異なります。図1に主な腐食環境と腐食要因をまとめました。それぞれの環境の詳細を見ていきましょう。
2. 淡水環境
淡水は、硬水と軟水に分けられます。カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分を多く含むのが硬水、少ないのが軟水です。硬水中では、鋼の表面に硬度成分が析出して、防食性の皮膜を形成します。これにより、腐食性は低下します。軟水中では防食性皮膜が形成されず、腐食性は高くなります。
淡水中の炭素鋼には、安定したさび層(酸化物皮膜)が形成されるため、腐食性は低く、腐食速度は0.2~0.3mm/年です。腐食速度は、淡水中に溶け込んだ酸素(溶存酸素)の供給速度によって変化します。水の流れる速さが増すと、鋼表面に触れる溶存酸素量も増え、腐食速度も増大します。
代表的な淡水である水道水には、衛生面から塩素(次亜塩素酸塩)が添加されています。水道水に添加される殺菌剤の塩素は酸化性が強く、金属材料の腐食性は高くなります。そのため、配管材料には塩素に強い鋳鉄(ちゅうてつ)や亜鉛めっき鋼、樹脂ライニング鋼ステンレス鋼などが使用され、炭素鋼がむき出しで使用されることはほとんどありません。塩素は揮発性なので、気相部(水面より上の気体部分)に濃縮されます。そのため、液相部(水面より下の液体部分)よりも気相部の方が、腐食性が高くなります。例えば、オーステナイトステンレス鋼(SUS304など)製の貯水槽は、液相部では耐食性を示しても、気相部に孔食や発錆(せい)が多く生じるため、注意が必要です。高純度フェライトステンレス鋼(SUS444など)は、塩素系に対して優れた耐食性を示すため、貯水槽の素材に適しています。
3. 海水環境
4. 大気環境
5. 土壌環境
6. 酸環境
7. アルカリ環境
8. 高温環境
9. 耐食材料のまとめ
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 腐食とは?
- 第2回 アルミニウム、ステンレス鋼、銅の腐食
- 第3回 環境の腐食性と耐食材料
- 第4回 鉄鋼材料の防食
- 第5回 防食設計とは?防食管理とは?
- 第6回 腐食の解析と腐食事例のデータベース