コンクリートの製造技術|コンクリートの基礎知識3

コンクリートの基礎知識
著者:広島工業大学 工学部 環境土木工学科 教授 十河 茂幸

前回は、構造物に求められる性能を実現するための、コンクリートの配合設計技術を解説しました。今回は、コンクリートの製造技術について解説します。品質管理がしっかりしていても、実際に用いられるコンクリートの品質には、かなりの変動が生じます。配合設計通りのコンクリートを造るには、正しい製造技術を理解する必要があります。

第3回「コンクリートの製造技術」を解説していきます。

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1. コンクリート材料の選定

コンクリートを構成する材料には、結合材(セメントおよび混和材)、水、骨材があります。これらに加えて、混和剤が使用されます。混和剤は、コンクリートの全体量からすると微量であるため、配合計算上は質量に加えません。以下に、コンクリート用の材料の詳細を説明します。

セメント
一般的にセメントには、普通ポルトランドセメントが用いられます。地中構造物や、耐久性が求められる場合には高炉セメントが、施工時に早く硬化させたい場合には、早強ポルトランドセメントを用いることがあります。その他にも、用途に応じた各種セメントがJIS(日本工業規格)に規定されています。しかし、生コン工場のサイロ数には限りがあり、希望のセメントを使えないことも多くあります。表1 に、各種セメントの特徴と、生産量比率の統計結果を示します。

各種セメントの特徴と生産量比率
表1:各種セメントの特徴と生産量比率

水
水は、セメントの水和反応(セメントが水と反応して、不溶性の水和物となって凝固・硬化する反応)に必要です。必要最低限の水量では水和反応がスムーズに進まず、硬く施工が困難なため、コンクリートの流動性確保に必要な量の水を加えます。ただし、水量が多すぎると硬化後に乾燥収縮が発生するため、単位水量は小さい方がよいとされています。水質は飲料に適するものであれば問題ありません。また、工業用水や生コン工場の回収水なども使用可能です。

骨材
骨材のうち、粒子が5mm 以上のものを粗骨材、5mm より小さいものを細骨材と分類します。骨材はコンクリート容積の約7 割を占め、運搬に大量のエネルギーやコストを要することから、施工現場の近隣で採取する傾向が強くあります。単位水量が大きいと、乾燥収縮が大きくなるため、骨材の品質は、単位水量を低減することを目標にしています。骨材自体の密度が大きく、吸水率が小さいほど、粒形が丸みを帯びて粒度が広く分布すると、実積率が大きくなります。実積率の大きい骨材ほど、品質がよいとされています。

混和材料
混和材料は、混和材と混和剤に分類されます。混和材は、セメントにプレミックスされると混合材と呼ばれ、混合セメントの材料となります。生コン工場で混入されると混和材と呼ばれます。ただし、貯蔵方法に問題があるため、一般には使用されません。混和剤は、少量でコンクリートの品質を改善する薬品です。生コンには頻繁に使用されます。表2に、生コンに使用される一般的な混和剤を示します。

生コン工場で使用される主な混和剤の特徴
表2:生コン工場で使用される主な混和剤の特徴

AE 剤は、コンクリート中に微細な気泡(エントレインドエア)を連行することにより耐凍害性を確保します。また、気泡の混入による流動性の向上も期待できます。AE 減水剤は、AE 剤の効果の他にセメントの分散効果があり、流動性を改善します。同等の流動性を確保する条件では、単位水量の低減が期待できる混和剤です。高性能AE 減水剤は、AE 減水剤よりも、さらに減水効果が期待できます。

2. コンクリート材料の計量

コンクリートは型枠の中に打ち込まれるため、必要な容積だけ製造されます。しかし、容積だけで材料の計量を行うと、大きな誤差を生じます。そこで、容積が1m3 のコンクリートを製造することを想定し、各材料の質量を算出します。これが計量の基本です。

練混ぜの結果、容積の誤差を生じやすいのが空気量です。空気量が1% 変化すると、コンクリートの容積も1% 変動します。型枠内の容積が1% 減少すると、コスト面に大きな影響を与えます。生コンの製造業者は、目標空気量に4.5±1.5% の許容誤差を設定しています。上下3%もの幅を持たせているのは、生コン工場の製造管理上の問題であるとともに、混和剤の連行空気(練混ぜの際に、コンクリートが取り込む空気)の安定性にも課題があるためです。ほとんどの生コン工場では、購入者からの容積に関するクレームをなくすため、空気量が最小の3%となっても容積が確保できるように、1.5 ~ 2.0% の割り増し(容積補償)をしています。

セメントと骨材(粗骨材および細骨材)の計量は、ロードセル(荷重変換器)で行います。混和剤と水は容積で計量しても大きな誤差とはならないものの、通常はロードセルで計量します。水の必要量は、混和剤を計量後に、水に混和剤を加えた状態で計量します。細骨材と粗骨材は、累積計量が可能です。ただし、全体量に対して質量が大きいため、通常は個別に計量されます。

ロードセルを用いた短時間の計量では、静置での計量とならず、誤差が生じます。各材料の計量誤差は、「JIS A 5308レディーミクストコンクリート」や各仕様書に定められています(表3)。計量誤差は、通常許容される計量誤差の半分以下になるとされています。ただし、これ以上の計量誤差が生じる場合もあります。

各材料の計量誤差
表3:各材料の計量誤差(引用:JIS A 5308レディーミクストコンクリート)

計量誤差が大きくなる理由の一つに、細骨材の表面水の変動があります。細骨材は表面乾燥状態(表面は乾燥し、内部は水で飽和されている状態)で配合計算されているため、表面を乾燥させなければ、正確に計量できません。しかし、細骨材を乾燥させるには時間を要し、また計量装置上の問題もあるため、表面水を含んだやや湿った状態で計量します。つまり、水の一部は細骨材と共に計量されています。そのため、計量誤差が生じます。骨材が含む水の定義を、図1 に示します。

骨材が含む水の定義
図1:骨材が含む水の定義

骨材中の水は、セメントの水和反応に寄与しないため、単位水量には加えません。しかし、骨材の表面の水は単位水量の一部となります。例えば、5% の表面水を持つ細骨材が1m3 で800kg/m3 あるとすれば、800×5%=40kg/m3 の水を細骨材の計量器で測っていることになります。計量誤差以内である保証はありません。骨材の表面水が多いと、品質の大きな変動にもつながり、計量誤差も大きくなります。

3. コンクリートの練混ぜ方法

4. 品質変動の小さいコンクリートの製造方法

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全9回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 コンクリートの長所と短所
  • 第2回 コンクリートの配合設計
  • 第3回 コンクリートの製造技術
  • 第4回 コンクリートの打設
  • 第5回 コンクリートの養生
  • 第6回 コンクリートの仕上げ
  • 第7回 コンクリートのひび割れ
  • 第8回 コンクリート構造物の劣化
  • 第9回 コンクリートの長寿命化

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