前回は、日本のモノづくりと擦り合わせ型開発の関係、そして構想設計についてまとめました。擦り合わせ型の製品開発は日本の得意なスタイルですが、従来と同じように進めていると、国際競争力の維持は困難です。今回は、擦り合わせ開発が抱える問題点と、その合理化の方法を解説します。
第2回「擦り合わせ開発の成功のための考え方」を解説していきます。
第2回もくじ
1. 製品開発で発生する問題
Tech Note 読者の中には、メーカーなどで製品開発に携わる人も多いことでしょう。実際の製品開発の現場で起きる問題の例を、いくつか挙げてみます。心当たりがある人も、多いのではないでしょうか?
・時間とコストをかけた技術開発が、無駄になる
例えば、機能材料の開発は、長い期間を必要とし開発コストもかかります。ところが、せっかく作った技術のばらつきが大きく、信頼性が低かったり、価格が高すぎたりといった理由で、製品に搭載されないことが少なくありません。
・要求品質を満たさない、コストが高くなる
製品を動かした際に期待通りの性能が出なかったり、途中で原材料費が高くなったり、追加の機能が必要になることがあります。
・トレードオフが発生する
市場に出る製品は、ユーザーを満足させるだけでなく、環境、安全性などの社会的要求を満たし、さらに利益も生まなければなりません。しかし、一方を満足させると、他を満足させられないケースがよく起こります。
・想定外のトラブルが発生する
製品開発のスタート時には、過去の問題を再発させないように注意して、計画を作ります。ところが、技術が複雑化してくると、必ずといってもいいほど新たな問題が発生します。原因を究明し解決手段を講じるまで、かなりの労力を使い、開発スケジュールの遅れにつながることもあります。
このような問題は、なぜ起きるのでしょうか? 考えられる原因を表1にまとめました。また、トラブルは、製品開発の後の段階になるにつれて、増加していきます。すでに多くの点が決められているため、手段が限定され、時間の余裕もありません。このような中、対策を打つのは大変な労力を必要とします。結果として、これが「擦り合わせ型開発」の実態になっているのが、実態ではないでしょうか。
市場からの要求で、製品の構成や技術は複雑化しています。さらに製品が置かれる環境やユーザーの使い方も多様です。そのため、今後の製品開発で上記の問題は、ますます増加していくと予想されます。
2. 開発効率化のための基本方針
全5回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 擦り合わせ型開発と組み立て型開発
- 第2回 擦り合わせ開発の成功のための考え方
- 第3回 構想設計の進め方
- 第4回 VEを使ったコスト見積もり
- 第5回 構想設計の見直し方