クリーン化の設備診断|クリーン化の基礎知識5

クリーン化の基礎知識
著者:公益財団法人やまなし産業支援機構 クリーン化登録専門家 清水 英範

前回は、クリーン化活動のスムーズな推進と定着に役立つ、3 ステップ推進法を紹介しました。今回は、現場のクリーン化診断を解説します。現場のクリーン化診断とは、現場のモノづくり環境や安全を確認し、改善・対策を講じる活動です。現場診断を行うことで、QCD(品質、コスト、納期)の改善、事故災害の未然防止といったメリットがあります。現場診断の中で重要な項目が、設備の診断です。今回は、現場の設備診断の進め方を 3 ステップにまとめて説明します。

第5回「クリーン化の設備診断 」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 設備診断の3ステップ

設備診断とは、稼働中の設備に不備や問題点がないか、現場で診断することです。設備診断は、設備周囲の概略診断、設備周囲の詳細診断、設備内部の詳細診断の 3 ステップに分けて実施するのが効果的(図 1)です。それぞれの詳細を見ていきましょう。

設備診断の3ステップとは
図1:設備診断の3ステップとは

1:設備周囲の概略診断
設備周囲の概略診断では、ケーブルや配管など、設備に付帯している部品などを中心に確認していきます。具体的には、排気口・配管・電源ケーブルの観察、設備上部・下部・背面の観察、設備の設置状況、作業台の設置状況、周囲の清掃状況、異臭、周囲への薬液・排水・オイル漏れの有無などを目視で観察します。

この診断で多くの不具合が容易に見つかるということは、現場の管理ができていないということです。品質問題や事故、災害、作業ミスが発生しやすいレベルであり、早急に改善・対策を講じなければいけません。概略診断を行うことで、現場の管理レベルの把握にもつながります。

2:設備周囲の詳細診断
設備周囲の詳細診断では、設備の周囲をより詳細に観察し、故障や問題がないかを確認します。特に、振動部や摺(しゅう)動部の接触・発じんに注力して確認を実施すると、クリーン化の観点からは効果的です。詳細診断を行うことで、製品加工エリアの環境改善につなげることができます。確認項目を洗い出す際は、問題がありそうな設備の部品に着目し、漏れなくチェックできるように考えます。例えば、設備のカバーに着目すると、確認項目例は以下のようになります。

・設備カバーが斜めに取り付けられていないか。
・設備カバーのねじがきちんと固定してあるか。欠落箇所はないか。
・設備カバーに手の跡がないか。
・設備カバーに汚れはないか。塗装は剥げていないか。
・設備カバーがさびていないか。
・設備カバーの内側に傷がないか。

詳細診断で設備に問題を発見した場合は、設備の稼働状況やメンテナンス状況を確認します。例えば、カバーが傾いている設備を発見したとしましょう。その設備のメンテナンス状況を確認すると、修理頻度が多いことが分かりました。カバーが傾いた理由として、取り付け・取り外しの繰り返しで変形した、取り付けが面倒なためいい加減になった、ねじがきちんと締められてないなどが考えられます。また、修理が多い設備の注意点として、同じ箇所をつかむ場合が多く、きれいに見える素手や手袋で触れていても、その箇所は徐々に汚れていきます。

故障頻度の多い設備を見つけた時、筆者は、生産計画が守られているのか確認しています。この場合、メンテナンス記録から MTBF(平均故障間隔)をチェックします。また、故障が多くても全体の生産に影響がない場合、他の設備の高い稼働率で補われている場合もあります。同じ設備でも、個性があることを知っておくことが重要です。不具合の発見を元に、発生状況やその影響を、一連の流れとしてストーリー化して考えることで、現場を見る目が高められます。

3:設備内部の詳細診断
設備周囲の確認が終わったら、設備の内部を診断します。内部診断時は、以下のようなチェック項目を作成しておくと、効率的に確認できます。

・設備の稼働状況
・設備内部の修理状況の確認
・設備の異常な振動、異音、異臭、発熱
・設備内部の配線、配管周り
・設備内部の気流の状況

設備の内部は製品を加工する場所であり、製品品質に直接影響する場所です。注意深く診断しましょう。詳細診断を行うことで、クリーン化の観点からは発じん箇所の発見、ゴミの発生源対策、飛散防止対策、設備の故障の未然防止につながり、設備の延命化や製品品質向上のメリットがあります。

設備内部の詳細診断をする際の注意点は、設備を必ず停止することです。稼働の不具合をチェックする場合は、設備が動いている時の方が診断しやすいです。しかし、推測や疑問の箇所が本当に問題なのか、のぞいたり手で触れて確認する場合は、必ず設備を停止しましょう。少しくらいは大丈夫だ、瞬時に対応・確認できそうだと思って、動いているものに手を出し、けがをする災害は案外多いものです。例外は作らず、必ず止めることです。

2. 全体診断

今までは現場の診断について解説してきました。現場を診断することで、QCD の向上など目に見えるメリットを得られます。一方で、筆者は会社全体を俯瞰して診断することも重要だと考えています。すなわち構内の清掃状況、クリーンルームと一般廊下の間の壁に設置されているダンパーの廊下側からの観察、ルールの順守状況、仕事の取り組み方など、会社や社員の雰囲気を客観的に確認し、問題がないかを判断するのです。これを、筆者は全体診断と呼んでいます。全体診断では、以下のような点もチェックしておくと、クリーン化の観点から有効です。

・クリーンルームに至る経路の確認(ダンパーの状態、清掃状況など)
・二次更衣室の清掃状況
・防じん衣着脱ルールの順守状況
・防じん衣着用時の動作・行動
・エアシャワーの浴び方

3. 外部のコンサルタント・指導者依頼時のポイント

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 クリーン化の本質とは
  • 第2回 クリーン化成功のポイント
  • 第3回 クリーンルームの定義と正しい運用方法
  • 第4回 クリーン化活動の推進法
  • 第5回 クリーン化の設備診断
  • 第6回 クリーン化の事例と安全対策

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