前回は、クリーン化によるメリットとクリーン化の本質について解説しました。今回は、実際にクリーン化活動を成功させ、定着させるための具体的なポイントを取り上げます。
第2回「クリーン化成功のポイント 」を解説していきます。
第2回もくじ
1. クリーン化を成功させるには
クリーン化を成功させるためのポイントは、大きく 2 つあります。それぞれを具体的に見ていきましょう。
1:なぜ活動するのかを考える
クリーン化は、掃除を推進するだけの活動と捉えられがちです。しかしクリーン化の本質は、より高品質の製品を作ることであり、掃除をすることが目的ではありません。なぜこの活動が必要なのか、この活動を通じて製品品質はどのように良くなるのかを考え、気付き、理解することが必要です。
クリーン化の理解不足の事例として、クリーンルームに入室するまでの着替え方を誤っていた会社を紹介します。一般的にクリーンルームでの作業がある従業員は、出社したら、まず一次更衣室で私服から社服(ユニフォーム)に着替え、上履きに履き替えます。さらにクリーンルームの手前の二次更衣室で、社服から防じん衣に着替え、エアシャワーを浴びます。クリーンルームの入室まで、何度も着替えることがルール化されています(図 1)。
しかし、その会社の従業員は、一次更衣室で着替えずそのまま通過し、二次更衣室で私服の上に防じん衣を着て、クリーンルームに入っていました。この行為の何が問題なのか、考えてみましょう。
クリーンルームに入る前に何度も着替えるのは、私たちの服や髪の毛に付着しているほこり、花粉、微生物、化学物質、雨水、塩分(汗・潮風)などのゴミ・汚れをクリーンルームに持ち込まないためです。一次更衣室で社服に着替えることで、外気に触れた私服や靴のゴミ・汚れの大部分を置いていくことができます。さらに、二次更衣室では、私服から社服にわずかに転写した汚れと、社内で付着したゴミをクリーンルームに持ち込まないために着替えます。防じん衣にわずかなゴミも付着させないために、二次更衣室の中でも社服着脱場所と防じん衣着脱場所は極力離します。それが難しいなら、パーテーションなどで区切る工夫をするとよいでしょう。
前述のルールを守っていない従業員は、服を何度も着替えることに、汚れを落とす意味があることを理解していなかったのです。なぜこのルールがあるのかを考え、実践することが、クリーン化活動を成功させるためのポイントです。
2:全社活動であること
クリーン化活動は、全社活動であることが重要です。なぜならば、クリーン化活動は地味で目立たない活動ゆえに、個人や小規模の活動では立ち消えてしまいがちだからです。全社活動にするコツは、2 つあります。
・目標を設定する
全社活動にするには、従業員全員のベクトルを合わせるために、まずは明確な目標を設定します。成果が出たら、全員にフィードバックすることも効果的です。成果を知ることで達成感が得られ、次の目標に向けた活動に弾みがつきます。
・経営者や上層部が先導する
クリーン化は重要な仕事であることを、まずは経営者や上層部が理解・認識する必要があります。成果がすぐに現れないことが多く、直接的な売り上げとして数値化できないため、地味なクリーン化活動を継続するには、経営者や上層部の理解が不可欠です。経営者や上層部は、現場がクリーン化活動を確実に遂行できる組織づくりをしましょう。例えば、各部署からクリーン化活動の担当者を決め、全社一体となって活動させ、それを支援するなどです。
2. 活動を定着させる 3 つのコツ
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 クリーン化の本質とは
- 第2回 クリーン化成功のポイント
- 第3回 クリーンルームの定義と正しい運用方法
- 第4回 クリーン化活動の推進法
- 第5回 クリーン化の設備診断
- 第6回 クリーン化の事例と安全対策