予防の知識と掃除が楽になる法則|掃除学の基礎知識7

掃除学の基礎知識
著者:クリーンプロデューサー 兼 ベスト株式会社 代表取締役 植木 照夫

前回は、作業方法の知識について解説しました。今回は、掃除の方程式における予防の知識と掃除が楽になる法則について解説します。掃除学の真髄は予防の知識にあり、予防掃除は予防医学でもあります。住まいを例に予防の知識について解説します。

第7回「予防の知識と掃除が楽になる法則」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 予防の知識

予防を考えるに当たり、掃除の方程式展開図を逆から見てみましょう(図1)。作業方法の知識においては、簡単で効率の良い作業方法により掃除が楽になります。洗剤の知識では、強力で洗浄効果がある素材に優しい洗剤の活用、用具の知識では、素材に優しく取り扱いが簡単な物理的除去力の強い用具により、掃除が楽になります。

また、経済性、安全性などを考慮していくことで、より質の高い予防対策を行うことができます。さらに、現状分析から見ると、汚れ付着のプロセスとその原因に、掃除を楽にする予防対策の本質があるといえます。

掃除の方程式展開図
図1:掃除の方程式展開図

汚染原因と改善対策について考えてみます。建築物の汚染におけるさまざまな掃除問題は、利用者(居住者)と建物の両方に影響を与えます。予防掃除は、人と建物の健康を守る最も身近な対策です。まずは、汚れた原因を考えることから始めます。

汚染原因とは、故意に汚す場合でない限り、生活の中で必然と存在するものです。つまり環境によるものであるといえます。その環境改善対策は、予防掃除において重要です。対策を大きく3 つに分類してみると、住まい方、住まい、その他の改善に分けることができます(図2)。このうち、その他の改善に関しては、周辺地域の環境改善なども含まれるので、個人衛生として専有部となる住まいに関して解説します。

効率的な予防掃除では、住まい方の改善と住まいの改善。つまり、ソフトとハードの両方の対策が必要になるということです。

予防掃除対策
図2:予防掃除対策

住まい方の改善においては、どんなに高性能な家も、使い方を誤ればその能力を発揮できません。汚れやすい環境でも、住まい方を改善することで予防掃除につながります。住まい方の改善のうち、掃除方法の対策についてはメディアなどで多く情報発信されているので、ここでは基礎理論として予防掃除のための生活習慣例を紹介します。各個人や環境に合わせた改善対策は無数にあります。

住まい方の改善、予防掃除の生活習慣対策
・整理整頓を習慣化する
・日常的に掃除を行う
・積極的な換気をする。例えば、人の多く集まる時や子供やペットが部屋で活動的に遊ぶときなど、機械換気の活用や、窓空けを行う。
・換気設備や空調機器の定期的な掃除をする(主にフィルタ類など)
・飲食物の摂取はダイニングで行うなど、汚染に配慮した生活をする
・改善対策の継続および、対策の効果確認や見直しをする


予防掃除における住まいの改善としては、現状で行える対策とリフォーム、および新築による対策に分けられます。最も効果が高いのは掃除が楽な家にすることです。リフォームや新築対策を行う際に、掃除メンテナンスを考慮した設計や住宅設備、施工法により対策できます。もちろん、居住後にはその家にあった住まい方もあります。

現状で行える予防掃除対策は、化学的な予防と物理的な予防に分類できます。一般的に認知されている化学的予防は、床用ワックスなどを含む各種コーティング(保護剤)の使用です。物理的予防は、使い捨て換気扇フィルタ、玄関マット、ガス台の油跳ね防止壁、各種カバー類などアイデア次第で無数にあります(図3)。

現状で行える物理的予防掃除対策
図3:現状で行える物理的予防掃除対策

このように、予防掃除を考えるには、対象となる汚れを理解し、その発生原因と各掃除の知識を考慮して予防対策していくことが大切です。予防を考えながら掃除の方程式の知識を追究していくと、予防掃除の究極理論は掃除が楽になる法則にあるともいえるのです。

2. 掃除が楽になる法則

掃除を楽にするための法則は4 つあります(図4)。各法則は、それぞれが互いに矛盾しないよう組み合わせて使用することで大きな効果を生みます。法則の内容は、言われてみれば当然のことですが、意外にできていないものでもあります。各法則について解説します。

掃除が楽になる法則図
図4:掃除が楽になる法則図

掃除を楽にするための法則の1 つめは、汚れにくい環境を作ることです。汚れにくい環境を作ることで掃除を楽にします。極論をいうと、汚れなければ掃除をする必要がありません。しかし、現時点で汚れない環境を作ることはおそらく不可能です。従って、掃除を楽にするための最も重要なことは、汚れにくい環境を作ることです。他の項目も、汚れにくい環境を作るためにあるともいえます。

2 つめは、凹凸をなくす、または使用場所や形態を工夫することです。基本的に建物の形や素材の表面形状など、凹凸のないものは汚れにくく掃除は楽です。その反対に、凹凸の頻度や周期が多いほど汚れの付着面も多く、掃除の作業量が増える他、凹凸の形状が複雑なほど汚れの除去が困難です。一方、使用場所や用途に応じて汚れにくい凹凸もあるので、うまく利用するとよいでしょう。また、凹凸を多く使用する箇所には、他の法則を採り入れることで掃除を楽にすることもできます。

3 つめは、掃除が楽な素材を使用することです。住まいの汚れは素材に付着するものであり、その素材には掃除が楽なものから大変なものまであります。外装や内装材を選ぶ時、デザインや機能性で選びがちですが、居住後の掃除を考えて選ぶことも大切です。掃除がしやすい素材(製品・機器類など含む)を使用することで、掃除が楽になります。

4 つめは、掃除が楽な作業環境を確保することです。掃除がしやすい作業環境を確保することで、作業時間と作業量の短縮が可能です。設計の段階から掃除をイメージし、楽な掃除方法を考えその対策を採ることが理想です。また現状対策として、汚れは付着後、時間が経過していなければ除去しやすいので、掃除用具を近くに配置し、すぐに掃除ができるようにすることも有効です。

3. 掃除学の基礎知識まとめ

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全7回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 掃除理論と方程式
  • 第2回 汚れの知識
  • 第3回 場所・素材の知識
  • 第4回 掃除用具の知識
  • 第5回 洗剤の知識
  • 第6回 作業方法の知識
  • 第7回 予防の知識と掃除が楽になる法則

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