前回は、有機金属触媒を紹介しました。今回は、不均一触媒(固体触媒)を解説します。不均一触媒は、反応物の存在する気体や液体と接して触媒作用を示す固体の触媒です。触媒と生成物との分離が容易で、大量生産に向いています。本稿では、固体触媒の代表的な概念を紹介します。
第4回「不均一触媒」を解説していきます。
1. 不均一触媒とは?
前回紹介した均一触媒は分子触媒とも呼ばれ、1 個の金属が反応の中心として働くのに対し、不均一触媒は固体表面で反応が起きます。この場合、原子の集団が共同して触媒反応を起こします。C-C 結合などの分解反応が容易に起こります。また、反応物と触媒を容易に分離・回収・再利用できます。錯体触媒に比べ、固体触媒は容易に製造できるため、大量合成には向いています。しかし、従来型の固体触媒は、医薬品などの精密合成には向いていません。
材料の観点で見ると、不均一触媒は、金属触媒と酸化物触媒に大きく分けることができます。このうち金属触媒は、白金PtやロジウムRhなど、表面に露出した金属が触媒作用を示します。表面積を大きくするため、ナノ粒子化します。このナノ粒子を安定させるため、高表面積を有するSiO 2 、Al 2 O 3 、TiO 2 などの酸化物担体上に担持されて使われます。
ナノ粒子を用いた場合、多数の結晶面が出ることから、構造を規定することが困難です。そこで、単結晶の表面を用いて、その構造を規定し、触媒作用と構造の相関を取る研究も行われています。
2. ラングミュア = ヒンシェルウッド機構とイーレイ = リディール機構
ここでは、2 つの代表的な固体表面の反応機構、ラングミュア = ヒンシェルウッド機構と、イーレイ = リディール機構について説明します。ラングミュア = ヒンシェルウッド機構は、反応物が固体表面に吸着、拡散し、互いに出会うことで反応、脱離して触媒プロセスが進みます。後で述べるエチレンの水素化は、代表的なラングミュア = ヒンシェルウッド機構です。一方が強く吸着すると反応が阻害されます。これに対し、イーレイ = リディール機構は、吸着物に気相の反応物が直接衝突して、反応が進みます(図 1)。
3. Well defined 表面
4. ナノ金属触媒
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 触媒とは?
- 第2回 身近なところにある触媒
- 第3回 金属錯体触媒
- 第4回 不均一触媒
- 第5回 不均一触媒の反応例
- 第6回 キャラクタリゼーションの基礎
- 第7回 X線を用いたキャラクタリゼーション法
- 第8回 未来の触媒