前回は、主な鋳造(ちゅうぞう)法の特徴を紹介しました。今回から2回にわたり、鋳造材料について解説します。鋳造材料は、鉄系と非鉄系に分類されます。今回紹介するのは、鉄系鋳造材料です。
第3回「鉄系鋳造材料の種類」を解説していきます。
1. 鉄系鋳造材料の分類
鉄系の鋳造材料は、炭素量によって、鋳鋼(ちゅうこう)と鋳鉄(ちゅうてつ)に分類されます(図1)。鋳鋼は炭素量が少なく(2.1%以下)、強度に優れています。鋳鋼はさらに、炭素鋼鋳鋼と合金鋼鋳鋼に分けられます。一方、炭素を多く含むのが鋳鉄です(2.1%以上)。炭素の他にケイ素を主成分とし、鋳造性に優れています。鋳鉄は、炭素の状態によって、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、白鋳鉄に分けられます。
2. 鋳鋼の種類と性質
鋳鋼は、読んで字のごとく、鋳造に用いられる鋼です。鋼は、炭素含有量が0.04~ 2.1%の鉄の合金で、鋼鉄とも呼ばれます。鋳鋼は、鋳鉄に比べて炭素量が少ないため、溶解温度が高く、凝固時の体積収縮(凝固収縮)が大きいなど、鋳造は難しいといわれます。しかし、鍛造などでは作りにくい複雑な形状や、湾曲形状、中空部を持つ製品を一体で成形できるため広く使用されています。鋳鉄では強度が不足する製品にも用いられます。
鋳鋼は、炭素鋼鋳鋼と合金鋼鋳鋼に大別されます。炭素鋼鋳鋼は、炭素C以外の元素を有効元素(有用な性能を得るために必要な元素)として扱いません。一方、合金鋼鋳鋼は、炭素C以外にクロムCr、マンガンMn、モリブデンMo、ニッケルNi、ケイ素Siなどの元素を添加します。添加した元素の量により、低合金鋼と高合金鋼に分類されます。
・炭素鋼鋳鋼
炭素鋼鋳鋼は、焼なまし、焼ならし処理を施して使用され、電動機部品、発電所用機械部品、鉄道車両部品などに用いられます。含有する炭素量によって、低炭素鋼(炭素量0.20%以下)、中炭素鋼(炭素量0.20~0.50%)、高炭素鋼(炭素量0.50%以上)に分類されます。また、材料の引張強さによって、SC360、SC410、SC450、SC480の4つに分類されます(表1)。
その他にも、中炭素鋼の高張力炭素鋼にはSCC3、SCC5があります。炭素量の増加とともに強度が増し、じん性が低下するため、使用目的に応じて適当な鋼種を選ぶ必要があります。溶接構造用として使用される鋳鋼品には、SCW410、SCW450、SCW480、SCW550、SCW620があります。
・合金鋼鋳鋼
合金鋼鋳鋼は、炭素C以外に、マンガンMn、クロムCr、モリブデンMoなどの元素を添加した鋳鋼です。低マンガン鋼鋳鋼SCMn、マンガンクロム鋼鋳鋼SCMnCr、マンガンモリブデン鋼鋳鋼SCMnM など、さまざまな種類があり、耐食性、耐熱性、耐摩耗性に優れています。
鋼材の強度向上にはマンガンMn、ケイ素Si、クロムCr を添加し、耐熱性向上にはモリブデ Mo を添加します。耐摩耗性が求められる歯車などには、マンガンMn やクロムCr を添加した合金鋼鋳鋼が使用されます。建設機械などの構造材や、キャタピラやローラなどの耐摩耗部品にも用いられます。
高合金鋼鋳鋼には、耐腐食性、耐熱性、耐摩耗性を向上する目的で、ニッケルNi、クロムCr、マンガンMn などを10%以上加えます。ステンレス鋼鋳鋼SCS、耐熱鋼鋳鋼SCH22、高マンガン鋼鋳鋼SCMnH などの種類があります。化学プラントのバルブには、ステンレス鋼鋳鋼SCSが用いられます。また、破砕機の耐摩耗部品や鉄道車両部品には、高マンガン鋳鋼品SCMnHが用いられます。
3. 鋳鉄の種類と性質
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 鋳造加工の特徴と材料
- 第2回 鋳造加工の種類
- 第3回 鉄系鋳造材料の種類
- 第4回 非鉄系鋳造材料の種類
- 第5回 砂型鋳造とは?
- 第6回 金型鋳造とは?
- 第7回 鋳巣の種類と検査方法
- 第8回 鋳物の設計