段ボール箱の特性|段ボールの基礎知識5

段ボールの基礎知識

著者:レンゴー株式会社 包装技術部 担当部長代理 東山 哲

前回は、段ボールの包装設計を説明しました。段ボールに対する含水率、荷重が加わる期間、積み方は、段ボール箱の特性、とりわけ圧縮強さに大きく影響を及ぼします。今回は、これらの段ボール箱の特性に関する影響について解説します。

第5回「段ボール箱の特性」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 含水率の影響

・環境条件と含水率
段ボール箱の含水率は、環境条件によって異なります。例えば、高湿度状態で段積み保管していると、吸湿して相対湿度が上昇し、含水率は高くなります。相対湿度ごとの温度と含水率の関係を、図1に示します。温度上昇に伴って、含水率はやや右下がりのグラフとなります。同じ温度の場合、例えば50%RH に対し、80%RH、90%RH のときでは、それぞれ約4%、約7% の含水率差があります。一方、同じ相対湿度の場合、10℃と40℃のときの含水率差は約1% です。このように、段ボールの含水率はほぼ相対湿度によって決まり、温度に比べて相対湿度の影響を受けやすいといえます。

環境条件と含水率
図1:環境条件と含水率

JIS P 8111 に紙、板紙、パルプにおける標準状態が記載されており、これに合わせて、段ボールの標準状態も23℃±1℃、(50±2%)RH としています。なお、標準状態において、段ボールの含水率は約7%です。

・含水率の測定方法
乾燥器による含水率の測定方法がJIS P 8203 に記載されており、一般的に段ボールもこの方法で含水率を求めます。その場合、105℃±2℃で加熱乾燥したときの質量減少分を水分と見なし、乾燥前の段ボールの質量に対するその比率を含水率(%)としています。105℃±2℃で恒量(乾燥による変化がなくなった時の質量)が得られるまでの乾燥処理を「絶乾」、絶乾して求めた含水率を「絶乾率」、また、絶乾して含水率を求める方法を「絶乾法」と呼んでいます。絶乾法では、段ボール箱そのもの、あるいは段ボール箱から切り出した試験片を絶乾する必要があります(図2)。この他に、含水率で電気抵抗値が変わることを利用した、水分計による測定方法があります(図3)。この方法で把握できるのは、段ボール表面の含水率に限られます。しかし、試験片を切り取る必要もなくすぐに測定値が得られるため、簡易的な測定方法として便利に活用されています。

絶乾のための切り出し
図2:絶乾のための切り出し
水分計による測定
図3:水分計による測定

・段ボール箱の含水率と圧縮強さ
含水率が高くなると、段ボール箱の圧縮強さが低下します。段ボール箱の含水率と圧縮強さの関係の例を、図4 に示します。

含水率と圧縮強さの関係
図4:含水率と圧縮強さの関係

グラフから、含水率が1% 上昇すると、圧縮強さが約10% 低下することが分かります。例えば、23℃、50%RH(含水率7%)における圧縮強さ5,000N に対し、30℃、80%RH(含水率11%)においては約3,300Nとなるので、圧縮強さがおよそ1/3 に低下することが分かります。元の圧縮強さは違ってもこの関係は同様であり、含水率と圧縮強さは式1 で示されることが知られています(参照:五十嵐清一、段ボール包装技術入門、日報出版、1985 年、P.108)。

P=a×0.9 x …式1
P:含水率x% のときの圧縮強さ(N)
a:含水率0% のときの圧縮強さ(N)
x:段ボール箱の含水率(%)

【計算例】
圧縮強さが3,500N、含水率が8.5% の段ボール箱があったとします。
そこで含水率12% のときの圧縮強さを推定するとします。式1 より、
3,500=a×0.9 8.5 →a=8,570
ゆえに、含水率12% のときの圧縮強さは、P=8,570×0.9 12 =2,420(N)となります。

段ボール箱の圧縮強さの含水率補正は、式2 でも求めることができます(参照:JA 全農段ボール資材品質管理要領、2005 年、P.9)。これは、式1と全く同じ考え方によるものです。

P Y =P X ×0.9 (Y-X) …式2
P Y :含水率Y%のときの圧縮強さ(N)
P X :含水率X%のときの圧縮強さ(N)
Y : 圧縮強さP Y のときの含水率(%)
X : 圧縮強さP X のときの含水率(%)

【計算例】
含水率7% のときの段ボール箱の圧縮強さがP 7% =3,000N だとして、含水率が11% に上昇したときの圧縮強さの低下率(%)を求めるとします。式2 より、P 11% =3,000×0.9 (11-7) =3,000×0.656≒1,970(N)、ゆえに、低下率は、(3,000-1,970)/3,000=0.343→34.3(%)となります。

2. 保管期間の影響

段ボール箱に荷重を加え続けると、その箱はやがて座屈(荷重によって、つぶれなどが生じること)します。荷重比が大きいほど、座屈するまでの期間が短くなります。荷重比とは、段ボール箱の圧縮強さに対する上載荷重の比です(式3)。

R=9.81×W/S   …式3
R : 荷重比
W:上載荷重(kg)
S : 圧縮強さ(N)

ここで、ケリカットの論文(第4 回参照)を引用して、段ボール箱の荷重比と保管可能期間の関係を説明します(図5)。横軸は対数で表示されており、荷重比が大きくなると保管可能期間が短くなり、また、保管期間が長くなるにつれて耐荷重が低下することを示しています。データのばらつきが大きいため、あらゆる段ボール箱が必ず図5 の近似線で座屈するとは限りません。それでも、荷重比と箱がつぶれるまでの時間の関係を知る上で参考になります。

荷重比と保管可能期間の関係
図5:荷重比と保管可能期間の関係(引用:K.Q.Kellicutt、E.F.Land、Forest Product Lab、No.D1911、1968)

0.1 日前後で近似線の傾きが異なるため、図5 の0.1 ~ 1,000 日の部分をグラフにした、図6 で説明します。荷重比が50% だと、保管可能期間は約300 日です。この荷重比を60%、70%、80% にすると、保管可能期間は約20日、約2日、0.1~0.2日にそれぞれ減少します。すなわち、荷重比が10% 増すごとに、保管可能期間は1 桁ずつ短くなることが分かります。また近似線は、保管中の圧縮強さの低下率を示していると見なせば、例えば、20 日間保管すると圧縮強さは60%、すなわち、20日間の保管で圧縮強さは40% 低下することになります。ただし、段ボール箱の圧縮強さは、含水率や積み方によっても低下しますので、パレットに積んだ状態で空調のない倉庫に保管する場合などは、図5 や図6で示されるよりも低下率はもっと高いと考えた方がよいでしょう。

保管可能期間に及ぼす荷重比の影響
図6:保管可能期間に及ぼす荷重比の影響

3. 積み方の影響

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 段ボール原紙
  • 第2回 段ボール・段ボール箱
  • 第3回 段ボールの製造工程
  • 第4回 段ボール包装設計
  • 第5回 段ボール箱の特性
  • 第6回 主な包装貨物試験方法

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