CAEとは?|CAEの基礎知識1

CAEの基礎知識
著者:ものつくり大学 名誉教授・野村CAE技術士事務所 野村 大次

CAE とは、Computer Aided Engineering の略で、コンピュータを活用した解析・設計統合の概念であり、これらを行うツールの名称でもあります。現在のモノづくりにおいて、新製品開発、製品の高効率化・高信頼性化、設計の合理化、トラブルシューティングなどのために広く活用されています。この連載では、CAE ソフトウェアを用いた解析に焦点を当て、機械系CAE 解析の手法の一つである有限要素法(FiniteElement Method、FEM)解析を解説していきます。今回は、CAE の概要や歴史、利用のメリット、習得に必要なことを説明します。

第1回「CAEとは?」を解説していきます。

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1. CAE とは?

CAE とは、Computer Aided Engineering の略で、コンピュータを活用した解析・設計統合の概念であり、これらを行うツールの名称です。現在、機械設計者向けCAEとして、3 次元CAD からCAE を呼び出して解析するソフトウェアが普及しています。CAEソフトウェアの利用は簡単ですが、より良い設計をするために、機械設計者はCAE ソフトウェアを使いこなす必要があります。図1 は、CAE を構成する技術的要素の概念図です。CAE システムは、CAD 中間ファイルを介して、3 次元CAD ソフトウェアと連携しています。

CAEの構成要素の概念図
図1:CAEの構成要素の概念図

そもそもCAE という言葉は、1970 年代に米国SDRC 社の創業者Dr.Jason R. Lemmon が提唱したMCAE(Mechanical Computer AidedEngineering、コンピュータを活用した解析・設計統合の概念)が原点です。Lemmon は、これを具現化するために、既に開発されていたCAD と、1956 年に発表され実用化されてきていたFEM を統合した画期的なソフトウェアI-DEAS(Integrated Design and Engineering AnalysisSoftware)を1982 年に世に出しました。その後、CAE ソフトウェアが発展し、CAE はCAE ソフトウェアを利用した解析そのものを指すようになりました。なお、I-DEAS は、複数回の企業の買収や統合を経て、現在でもその名前が残るソフトウェアが販売されています。

2. CAE のメリット

CAE を使うメリットは、開発コスト・時間の短縮、試作実験に頼らず評価できること、大規模・複雑な解析ができることの3つです。それぞれを解説します。

CAEのメリット
図2:CAEのメリット

・開発コスト・時間の短縮
CAE は、コンピュータ上でモデルを作り、シミュレーションによって計算結果を評価します。試作実験を繰り返して製品開発する方法に比べて、開発コスト・時間を大幅に短縮することができます。現在では、CAE と融合した3D CAD システムがあり、上流から下流までの設計・解析・試作を、同時並行で行うコンカレントエンジニアリングが可能です。

・試作実験に頼らず評価できる
試作実験で応力を評価する場合、ひずみゲージ(ストレインゲージ)を使います。測定できる値は、ひずみゲージを貼った位置における応力の値です。測定する回数も限定されており、測定器や測定者による誤差も多く含まれます。それに対してCAE では、試作機全体の変形や応力など、外から見えない位置やひずみゲージの貼れない位置の値も知ることができます。動解析なら、時刻ごとの値も分かります。また、試作実験ができないような大規模・複雑・危険な開発案件は、CAE でしか評価できません。

・大規模・複雑な解析ができる
従来、大規模・複雑なモデルでは、解析に多大な時間を要していました。現在は、コンピュータの計算能力の急速な発達と数値解析技術の高度化により、大規模・複雑なモデルでも、より短い時間で高精度な結果を得られるようになりました。

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3. CAE 習得に必要なこと

設計者向けCAE は、CAD の一部となり、ブラックボックス化が進んでいます。設計者が自信を持ってCAE を活用するためには、ブラックボックスの中の理解も欠かせません。CAE を習得するために必要なのは、工学系の基礎科目の習得、有限要素法(FEM)の基礎理論の学習、CAE ソフトウェアの操作、CAE プログラムの理解の4 つです。

CAE習得に必要なこと
図3:CAE習得に必要なこと

・工学系の基礎科目の習得
CAE を用いて構造解析、動解析、熱解析、流体解析を行うためには、大学の工学部機械系学科で学ぶような材料力学、機械力学、熱(伝熱)力学、流体力学の基礎科目を理解する必要があります。CAE の解析結果の評価には、必須の知識です。しっかりと身に付けておきましょう。

・FEM の基礎理論の学習
工学系の基礎科目の知識をベースとして、FEM の解析理論を学習します。独学だけでなく、CAEソフトウェアの会社が実施するFEMの基礎セミナーも利用しましょう。ウェブサイト上のCAEに関する情報も、探してみましょう。

・CAEソフトウェアの操作
多くのCAE ソフトウェアでは、PC の画面からプリプロセッサ(入力)、解析ソルバー(計算)、ポストプロセッサ(出力)を起動し、操作します。ソルバーへの入出力ファイルを読めるようになれば、柔軟に入力データを作成したり、的確に出力を評価することができます。

・CAEプログラムの理解
FEM に関する書籍の中には、独自プログラムのソースプログラムと、解説が付いているものがあります。このような書籍を使って、市販のCAEソフトウェアの動きを間接的に理解することができます。

いかがでしたか? 今回は、CAE の概要や歴史、利用のメリット、習得のために必要なことを解説しました。次回は、有限要素法(FEM)の原理について説明します。お楽しみに!

全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 CAEとは?
  • 第2回 有限要素法とは
  • 第3回 有限要素法の収束性と誤差
  • 第4回 有限要素法と他数値解法との比較
  • 第5回 CAE解析の種類
  • 第6回 有限要素法のテクニック

第2回~第6回の続きはこちらより資料をご覧ください!

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